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復興調査への支援(福島県南相馬市東町遺跡・上渋佐原田遺跡 その5)

2014年6月2日~6日の支援状況

 暦が6月にかわりました。今週も縄文時代中期・古代の集落遺跡である東町遺跡と平安時代の集落遺跡である上渋佐原田遺跡の発掘調査の様子をお伝えします。

 東町遺跡では、縄文時代中期の竪穴住居の遺構が数多くみつかっており、それにともなう複式炉もすでに十数基を数えるまでになっています。その数は今後も増える見込みです。奈文研職員の仕事は、今週も複式炉の実測作業などでした。みんなで書き溜めた実測図はかなりの枚数になっていますが、当分は実測作業が続くでしょう。

 上渋佐原田遺跡では、現在、掘立柱建物と竪穴建物の調査が進んでいます。いずれも平安時代の遺構です。竪穴建物のカマド調査は土層観察のための畦を十字形に残し、そこで土層の堆積状況を見極めながらの細かい作業の連続です。掘り下げの途中で土器が出土すると、そのときは手を止めて図化作業をおこないます。この2週間はカマド2基の調査と、掘立柱建物の図化作業に明け暮れた気がします。

 東町遺跡と上渋佐原田遺跡とは車で10分ほどの距離を隔てるのみですが、じつは気候が少し違います。上渋佐原田は海に近く、湿った風が東から吹いてきて、ときにはもやがつねにかかった状態になります。実測のためにピンと張ったはずの糸が、知らないうちに緩んでいる・・・そんなことが何度かありました。きっとこの湿り気をおびた風のせいだろうと思いました。

 東北地方もとうとう梅雨入りしてしまいました。6月6日(金)は朝から曇天でしたが、上渋佐原田遺跡に着くと雨が降り始めました。東町遺跡では、すでに作業を断念したとのこと。それでも実測作業をおこない、雨のなか1時間ほどで何とか区切りがよいところまで作業を進めました。厳しいスケジュールのなかでの発掘調査ですので、今週以降も作業がはかどることを祈ります。

 

 

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写真撮影をおこなう奈文研職員(上渋佐原田遺跡)

 

 

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曇天の上渋佐原田遺跡(作業風景)

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