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復興調査への支援(福島県南相馬市東町遺跡・上渋佐原田遺跡 その4)

2014年5月26日~30日の支援状況

 先週に引き続き、縄文時代中期・古代の集落遺跡である東町遺跡と、平安時代の集落遺跡である上渋佐原田遺跡の発掘調査に従事しました。

 東町遺跡では、縄文時代中期の竪穴住居の遺構が数多くみつかっており、しかもそれらが重なり合いながら検出されているため、土層の切り合い関係を見極めながら、新しい遺構から順に掘り下げる作業を進めました。しかし遺構の新旧があるとはいえ、これらはいずれも縄文時代中期後半の時期に属することから、同じ場所で何度も竪穴住居を建て替えながら生活が営まれてきたことがうかがわれます。また竪穴住居にともなう複式炉についても、同じ場所にすこし位置をずらして作り直している事例が確認されました。

 上渋佐原田遺跡では、多数の掘立柱建物の遺構とともに、2軒の竪穴式住居の遺構がみつかっており、いずれもカマドを備えていることがわかりました。今週はこのカマドの断ち割り調査・実測・写真撮影などを進めるとともに、遺跡全体の記録作成を進めました。

 ところで調査中に、通りかかった地元の住人の方が発掘現場の前で足をとめ、ときには調査担当者に質問を投げかけるという光景を何度か目にしました。特に東町遺跡は住宅地のなかにあり、近くに学校や保育園もあることから、比較的多くの人の目にとまるようです。そして皆さんの多くが、住宅地のただ中に数千年前のムラが埋もれていたことに驚いているようでした。

 発掘調査を通じて、歴史や文化を掘り起こし、地域の誇りを回復していくということが、これからの復興につながるのではないかと思います。私たちも、そうしたソフト面での復興に貢献することができればと願っています。

 

 

竪穴住居の遺構を掘り下げていきます(東町遺跡).jpg

竪穴住居の遺構を掘り下げていきます(東町遺跡)

 

 

東町遺跡の前に掲げられた看板.jpg

東町遺跡の前に掲げられた看板。遺跡のまわりはロープで仕切られてはいますが、周囲から容易に中を眺めることができます。