解体でわかる新事実
県内には、世界最古の木造建造物である法隆寺金堂をはじめ、多くの文化財建造物があります。これらはどのようにして現在まで保存されてきたのでしょうか。
日本の古建築の最大の特徴は、木造だということです。建物は、柱や柱などをつなぐ部材からなり、クギや接着剤をほとんど用いず、お互いを組み合わせてできています。
しかし木造の建物は、長年風雨にさらされると腐朽が進むので、定期的な修理が必要になります。その際、部材をバラバラに解体し、傷んだ部分を補強、交換して組み直す解体修理と呼ばれる方法が採られます。
建物全体を解体する修理は、建立以来、100~300年の周期で繰り返し行われてきました。その都度、建物のゆがみや部材の破損を徹底的に直すことで、建物が今日まで維持されてきたのです。
解体修理によって、建物の創建年代や修理の履歴、さらには失われた建築技術が判明することもあります。また、解体修理を繰り返すことで、技術を継承する後継者を育成するという重要な側面もあります。
解体修理は、文化財建造物を後世まで適切に保存していくために、なくてはならない手法なのです。
解体修理が進む薬師寺の東塔。最上層の屋根の板を外している(2013年3月、奈良市で)
(奈良文化財研究所研究員 大林潤)
(読売新聞2013年7月21日掲載)