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(9)古代の倉庫

出土木材から復原期待

 毎年秋になると、奈良国立博物館で開かれる正倉院展を見学するため、多くの人が奈良市を訪れます。同展に並ぶ貴重な宝物を1300年間守ってきた倉庫について説明しましょう。

 倉庫はちょっと地味な存在かもしれません。しかし、倉庫がなければ、大切な宝物や経典、米などを保管、収納することができません。

 奈良時代の倉庫は湿気を防ぐため、床を高くした高床建物でした。正倉院の倉庫は、断面が三角形の「校木(あぜき)」を組んで壁にした校倉、いわば古代のログハウスです。このほか「丸木倉」「板倉」などの記録があり、様々な倉があったようです。丸木倉は文字通り、丸木を積んだ壁だったとみられます。

 では、もっと古い古墳時代や弥生時代の倉庫はどんな形だったのでしょう。三重県伊勢市の伊勢神宮本殿は、弥生時代の高床倉庫の形式を今日に伝える建物とされています。また、古墳時代の倉庫は埴輪(はにわ)から想像がつきますが、細部の構造まではわかりません。

 しかし近年、各地で建築部材の出土例が増えています。この部材から倉庫を復原できるのではないかと期待されています。

 地中から掘り出された木材が、昔の倉庫を知る貴重な情報源として注目を集めています。

 

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大切な宝物を守り伝えてきた正倉院(2010年10月、奈良市で)

(奈良文化財研究所研究員 海野聡)

(読売新聞2013年6月2日掲載)

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