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復興調査への支援(福島県南相馬市東町遺跡・上渋佐原田遺跡 その1)

 

 東日本大震災の被災各地では、現在、復興事業にともなう発掘調査が、全国の地方公共団体から派遣された埋蔵文化財専門職員の支援によって進められています。
 奈良文化財研究所も、昨年度は、岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市、福島県広野町、同県南相馬市からの支援要請に応じて、職員派遣と技術支援をおこないました。
 本年度は、5月から福島県南相馬市の要請に応じて、防災集団移転事業の対象地区に所在する東町遺跡・上渋佐原田遺跡の発掘調査に職員を派遣することにしました。
 両遺跡とも調査開始以降、当初想定を大幅に上回る遺構が展開することが判明し、当初予定していた発掘調査体制では対応が難しくなったためです。
 奈文研としては、5月7日から調査終了予定の7月いっぱい、調査員を毎週2名程度派遣する予定にしています。その調査の進捗と支援の状況をここに報告します。
 

2014年5月7日~9日の支援状況

 平安時代の集落遺跡である上渋佐原田遺跡の発掘調査の支援をしました。現地では、すでに遺構検出は終わっていましたが、図面作成などの記録作業が遅れぎみでした。
 このため、掘立柱建物、竪穴建物、土坑等の断割断面図の作成をおこない、図面完了の遺構から、順次、完掘および断ち割りをおこないました。掘立柱建物は数回の建て直しが見られたため、複数の柱穴が重複しており、この見きわめを現地の調査員と一緒におこないました。まだ調査支援は始まったばかりですが、調査期間は限られており、現場の状況も刻一刻と変化しています。迅速かつ効率的な調査ができるように、現地の調査員と協力しつつ、奈文研としてできる限りの支援をおこなっていきたいと考えています。なお、今後は東町遺跡での調査支援もおこなう予定です。
 
 ※ 東町遺跡(あずまちょういせき)
 縄文時代中期末(大木9~10式)の竪穴建物20棟前後(環状集落)および9世紀後半の竪穴建物・掘立柱建物群。
 
 ※ 上渋佐原田遺跡(かみしぶさはらだいせき)
 9世紀後半の竪穴建物、掘立柱建物群が展開する集落遺跡。
 
 
 
 
 
 
竪穴建物を実測する奈文研研究員.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
掘立柱建物柱穴の掘削状況.jpg