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(4)重さを量る

3つの単位 唐の影響

 「牛肉200グラムください」「3キロ太っちゃったわ」。こんな日常会話に出てくる「重さ」が、どれぐらいか想像できますか? 実は日本中どこに行っても、同じ単位を使って重さが量れることは、驚くべきことなんです。

 日本人がモノの重さを量り始めたのは、少なくとも弥生時代に遡ります。ハカリにぶら下げたらしいオモリ(分銅(ふんどう))が長崎県・原(はる)の辻(つじ)遺跡から出土しています。

 重さを日本全国共通の単位で定めようとしたのは、奈良時代の少し前、藤原京の時代。国家が、斤(きん)・両(りょう)・銖(しゅ)という単位を用いるよう命じます。1斤は16両で今の670グラムほど、1両は24銖で今の42グラムほどにあたります。これらの単位は、東アジアの大帝国・唐から拝借したものです。

 実態はどうだったのでしょう。奈良時代の中頃、「他田舎人蝦夷(おさだのとねりえびす)」という男性が、稲を貸す時と返してもらう時で、違う重さのオモリを使って、貸した時よりも多い稲を返させるという不正を働いた、という話が残っています。また、古代の遺跡から出土するオモリの重さは案外バラバラ。重さの規定は、簡単には定着しなかったようです。

 先ほどの蝦夷は死後、閻魔(えんま)様に呼ばれ、罰を受けます。自分の体重をごまかすぐらいは、大目に見てもらえればよいのですが……。

 

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(奈良文化財研究所研究員 中川あや) ◇イラスト・岡本友紀

(読売新聞2013年4月27日掲載)

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