奈良文化財研究所に関するさまざまな情報を発信します。

計画停電?

2012年8月
 

修復の始まった西トップ遺跡
 今年の関西地方は計画停電が行われる可能性が取りざたされ、研究所でもその対応を検討していた。たとえば、温度変化に脆弱な出土品を保管した保管庫の温湿度対策や、常時通電が必要な保存科学の機器類。さらには光ケーブルを使っている研究所の電話まで止まることも初めて知った。今年はこうした対応策をとる必要は生じなかった。

 しかし外国で調査をしていると、計画も何もなく、突然電気が止まることが頻繁に起きる。私が担当するカンボジアでは10年くらい前には1日に数回は必ず停電が起きていた。最近ではさすがにそれほどの頻度ではなくなったが、特に雨期のこの季節、1日1回、午後に必ず来るスコールでは、落雷がもたらす停電が頻繁に起こる。昼間だったら、クーラーが止まり窓を開け放つくらいですむが、夜間には当然すべての照明が落ち漆黒の闇が訪れる。突発的な停電のなくなった日本では経験しなくなったが、闇に人間はなれていない。自分の手先も見えない闇にいい知れない不安がこみ上げてくる。しばらく待っても目が慣れてくることはない。全く光がないのだから。

 そんなときは手探りでベランダまで出て、夜空を見る。周りに人工的な光がない世界は、日本ではなかなか味わえない。低緯度のカンボジアでは星座の位置も日本とかなり異なり、それなりに楽しめるはずだ。と書いてみたが、私はほとんど実行したことがない。目を閉じているのか開いているのかすらわからないから、そのまま寝てしまう、のが素直な対応だと思っている。
(都城発掘調査部 副部長 杉山 洋)
※肩書きは執筆当時のものです。

 

月別 アーカイブ