奈良文化財研究所の研究成果や調査成果を、わかりやすく発信することを研究する研究室です。奈文研は約70年にわたって、多様な文化財に関する調査研究をおこなってきました。しかし、その内容はしばしば専門的で難しく、複雑です。それらをあらゆる人々にわかりやすく、正確に伝えることが、展示公開活用研究室の重要な使命なのです。
展示公開活用研究室では、平城宮跡資料館での展示をはじめ、SNSや動画配信などによる文化財と研究成果の公開、そして史跡、文化財の活用について研究しています。例えば、平城宮跡の史跡指定100年を記念して誕生したキュートぐみ【宮都組】は、子どもにもわかりやすく平城宮跡や奈良時代のことを教えてくれています。また、平城宮いざない館や平城宮跡資料館でおこなっている体験型のワークショップや、かりうち大会は、より身近なところから歴史や文化財に親しんでもらおうという取り組みです。さらに、そういった取り組みをX(アカウントは@nabunken_pr)やYouTubeなどで発信することで、より多くの方々に興味、関心を持っていただき、史跡や文化財への理解を深めていただこうと日々、取り組んでおります。
精緻で複雑な調査研究の成果を社会に還元する役割を担う展示公開活用研究室は、いわば調査研究の「画竜点睛」を担っています。現代社会の技術や人々の興味関心は、とてつもないスピードで変化します。そういった時代のニーズに合わせた文化財研究の発信、活用方法を研究し、次々と新しい取り組みを提案していきたいと考えています。そして、その成果がさまざまな地域での文化財を核とした文化振興や教育普及のアイデアを提案することにつながるだろうと考えています。
しかし、この研究室の名前自体が、長くて複雑で覚えづらいですね・・・まずは、研究室のことをわかりやすく発信するため、愛称を「てんかつ研」としました。「てんかつ研」をどうぞよろしくお願いします。
キュートぐみ作者の田中さとこさんからいただいた研究室の新装開店祝いポスター(天ぷら、カツはお出ししていません、あしからず)
令和5年度平城宮跡資料館の秋期企画展「女帝のいのり」展。都城発掘調査部(平城地区)の発掘調査の成果を、わかりやすく発信しました。
「女帝のいのり」展では、都城発掘調査部の研究員の協力も得て、ギャラリートークを計7回おこない、計139名の参加をいただきました。このほかにも、ギャラリートークやYouTubeをつかった展示品解説なども発信しました。
奈文研で働く職員にむけた「てんかつツアー」。さまざまな研究室で、どのような研究がされているのか、まずは研究所内での理解を深め、業務の円滑化や研究室を横断するようなプロジェクトを促進する狙いがあります。