展示企画室Exhibition Section 概要

展示企画室について

 展示企画室では、飛鳥資料館および平城宮跡資料館の学芸業務を行っています。両資料館では、飛鳥地域・平城地域での発掘調査の成果を常設展示で展示公開するほか、年に数回、さまざまな企画展を他の研究室と協力しながら企画・開催しています。

 また、他の博物館からの考古資料の借用に関する受け入れ・対応もしています。


連絡先

電話 0742-30-6755
FAX 0742-30-6750

巡訪研究室

 はじめに、企画調整部のはなしをちょっとだけします。企画調整部というと、まるで事務系のような名称ですが、れっきとした研究系の部門です。企画調整部には、企画調整室、展示企画室、文化財情報研究室、国際遺跡研究室、写真室、それに、飛鳥資料館学芸室が属しています。各室の仕事は多岐にわたっていますので、おいおい述べていきますが、せんじ詰めれば、研究所の研究成果や情報のアウトプット、渉外、それに多言語化の推進や国際交流を担当する部門といえるでしょう。

 今回は、その中から展示企画室の仕事についてご紹介します。展示企画室は、世間一般にいう「学芸員」に相当する業務をおこなっています。
 展示・教育普及という形で、研究所の成果を発信し、文化財の大切さを一般の人にもわかりやすく伝えることが、主たる任務です。地下に眠る埋蔵文化財は、発掘調査→整理→保存→研究→公開・活用、という流れに沿って現代社会に活かされることとなりますが、その流れの行きつくところ、「活用」の段階が学芸員の活躍の場と言えます。
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①展示企画室の様子

 では、おおまかに仕事内容をみていきましょう。
まず一つめが、企画展の運営( 会場は平城宮跡資料館、平城宮いざない館など)、二つめは、それらの施設の常設展示物の管理、三つめが奈文研所蔵品の他機関からの貸出窓口、四つめにボランティアガイドや一般の方からの質問対応といったところでしょうか。研究機関ですので、新たな展示手法の模索などにも取り組んでいます。中でも、大きな柱となる業務は、名前の通り、「展示」を「企画」すること。では、どのように企画展をつくりあげていくのか、写真とともにご説明しましょう。
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②報告書や関連論文から情報収集をしたうえで、展示に適した資料を選び出します。

③企画展の展示品が決まった段階で、会場設営のイメージ図を作ります。


 企画展を考える際、どういうテーマにするのか、どういった層の人を対象にするのかによって、内容や展示手法もかわってきます。ある程度の構想が決まれば、テーマに即した文献や報告書を調べ、展示物を洗い出していきます。単に勉強するだけではなく、最新の研究成果で興味深いものはないか? 一般の人にも面白いと思ってもらえるようなものはないか? など、アンテナを張りめぐらしながら情報収集していきます。そうして、洗い出した遺物が展示可能か、遺物に対する見解の相違などないか、都城発掘調査部の各研究室の担当研究員たちと話し合い、展示品を固めていきます。
 内容の吟味と並行して、広報物(チラシ・ポスター)の製作も展示企画室で行います。考古学的な情報を尊重し、展示のコンセプトが伝わるよう考慮しつつ、人目につき、集客が図れるようなデザインを意識して作っています。
 展示する遺物、会場のレイアウト、造作などの構想を大まかに固めつつ、展示の核となるリーフレットの編集作業を手掛けます。
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④リーフレットの編集作業。執筆しながら、画像加工、装丁デザイン、余白とのバランス、テキストの改行を工夫して、読みやすいよう作成します


 リーフレットの原稿を無事印刷屋さんに渡し終えると、次は会場のパネル・キャプションを作成づくりです。会場パネルは、文章が多すぎず、少なすぎず、来館者の方が読み飽きないような分量に留意しながらリーフレットの原稿をもとに作成し、所内の大型プロッターで印刷、パネルに貼っていきます。みんな手作りの仕事です。
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⑤キャプション・パネルの製作。展示前は貼って、切っての繰り返し。

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⑦会場パネルの様子

⑥会場設営のようす。手作りした説明パネルを、室員みんなで壁に打ち付けていきます。

 会場を整えたら、展示品を搬入し、ケースに納めていきます。ライティングは、光のプロである写真室の職員にお願いしています。開催前日に、記者発表、ボランティア研修を実施して、いよいよ展示がオープンします。
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⑧ケース、展示物、演示台のバランスを考えながら、展示品やキャプションを設置します。

⑨解説ボランティアさんへの展示研修。


 さて、奈文研では現在152名の解説ボランティアの方々に活動していただいています。来館者に奈文研の研究成果や展示の解説をするボランティアさん達は、「研究所」と「お客さん」を繋ぐ大事な役割を担ってくれています。ですので、展示をより深く理解してもらえるよう研修を実施し、日ごろの来館者とのやり取りの中で生じた疑問点などについても対応しています。
 子どもたちに楽しみながら考古資料を観察してもらう企画や、文化財に親しんでもらえるような取り組みを考えるのも、とても大切な仕事です。文化財の未来の担い手である子どもたちに、何かしらの働きかけができればと思っています。
また、展示品や温湿度に異常はないか? など、日々展示施設を点検しています。所蔵品だけではなく、他機関からの借用品も展示しているので、責任をもって保管しなければなりません。その他、来館者の方や、ボランティアさんの要望・改善案にもできる範囲で対応するようにしています。
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⑩ギャラリーイベントなどの企画やワークシートを考案し、広い層に文化財に親しんでもらえるような教育普及の取り組みも大切な業務です。

⑪温湿度を日々チェックし、定期的に埋蔵文化財センター保存修復科学研究室・所蔵担当室の研究員と状態確認を行い、適正な展示環境の維持に努めています。


 対外的な業務としては、奈文研の所蔵資料の実物や画像の借用を希望する全国の展示施設から、借用依頼が舞い込みます。それらの窓口となり、各研究室との調整を図るのも展示企画室の仕事です。
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⑫全国の展示施設からの借用依頼の窓口業務もこなしています。下見、画像提供、借用、返却など、多いときで1か月に10件ほど対応しています。

⑬他館の借用・画像対応、展示前の作業、日程調整でいつもカレンダーはいっぱいです。


 以上、展示企画室の業務をみてきました。その内容は思った以上に多岐にわたることがおわかりいただけましたでしょうか?
 発掘→整理→保存→研究と多くの人の手を経て、現代によみがえった文化財を、「資料館での展示」、「所外への貸出」、「教育普及として世の中へ還元」することで、その活用に貢献している研究室といえるでしょう。
 研究所の成果を咀嚼したうえで文化財の大切さを一般の人にもわかりやすく伝えることを第一として、一般の人と研究者とをつなげるパイプ役と自認し、日々の業務をこなしています。ぜひみなさんも、奈良に足を運んでいただき、奈文研の展示を見にいらしてくださいね。

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⑭これまでの展示リーフレット。


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