奈良文化財研究所は、文化財を総合的に研究するための機関です。
奈良は南都と呼ばれた古都で、多数の古建築や古美術品が残ることから、これらを総合的に研究するのがその設立の目的でした。そして、1960年代からは、平城宮跡の保存問題を契機に、平城地区と飛鳥・藤原地区で宮跡等の発掘調査と研究を進めてきました。その成果は、古代都城の形成に関する国内外の研究や学術交流に活かされています。
また、全国各地や世界の貴重な遺跡や遺物を守り、さらに、それを活用するための基礎となる、文化財の保存・修復・整備に関する研究にも力を入れています。
このほか、地方公共団体等の文化財担当職員や海外の研究者を対象とした研修、国内外の機関との共同研究も、数多く実施しています。
さらに、インターネット上で公開している各種データベース等を通じた多様で大量の文化財情報の発信や、平城宮跡資料館や藤原宮跡資料室、飛鳥資料館での研究成果や調査成果の展示公開も、当研究所の重要な仕事です。
近年、毎年のように大規模な地震や水害等で被害を受ける文化財が発生しています。これらの被害を受けた文化財のレスキューや、墳丘・石室に深刻な損傷を受けて崩壊の危機にある装飾古墳等の被害実態調査と対応策の検討等、被災文化財の救援をおこなっています。2020年からは研究所内に事務局が設置された機構本部の文化財防災センターと連携して、文化財防災についても積極的に取り組んでいます。