遺跡研究室 Site Management Section

概要

遺跡研究室について

遺跡研究室では、主に造園学・庭園史学の観点から、遺跡等のマネジメントに関する調査研究と、庭園(名勝)に関する調査研究をおこなっています。

 

遺跡等マネジメントに関する調査研究
日本の遺跡は、地下に埋蔵された遺構と遺物からなるものがほとんどで、保存のために埋め戻されてしまえば、現地を訪れても、そこにどのような遺構が埋蔵されているのか、かつてどのようなものがあったのか、専門家の説明なしには理解することはできません。


そこで、遺構を埋め戻して確実な保存を図りつつ、現地にかつてあった建物などを復元したり、その規模を地上に平面的・立体的に表現する(遺構表示)など、屋外展示をはじめとする遺跡の活用を企図した空間にしていく様々な試みがなされてきました。

  • 写真1 復元された平城宮東院庭園(特別史跡・特別名勝)

  • 写真2 平城宮第二次大極殿院・内裏の遺構表示

この度、「遺跡整備研究室」は「遺跡研究室」に名称が変更となりました。

その背景には、遺跡の整備に留まらない取り組みとして、遺跡を地域学習や地域振興に役立て、また観光資源として活用するなど、町づくりの核として位置付ける在り方が広く普及してきたこと、また現代日本の人口減少社会において、整備後の遺跡の保存環境の維持や、施設等の修繕の在り方など、持続可能なマネジメント体制の構築が大きな課題となってきたことがあります。

遺跡研究室では、現代の社会状況に照らして、今後の遺跡等のマネジメントの在り方を模索するため、国内外の遺跡の事例を調査し、研究を進めていく予定です。


また、平城宮跡をフィールドに活用や維持管理に関する実践的研究を進めています。活用に関しては、復元建物の利用、コンテンツ開発、地域間交流をキーワードに、遺跡と人を結びつけるための取り組みをおこなっています(『奈文研紀要』・かりうちプロジェクト)参照)。


さらに、奈文研の「宮跡管理プロジェクトチーム」において、今後の藤原宮跡および平城宮跡の整備・管理の在り方を検討するため、調査研究に着手しています。

  • 写真3 よみがえった古代のボードゲーム「かりうち」

  • 写真4 平城宮跡の茅の活用に関する調査研究

庭園に関する調査研究
奈文研では、設立当初から現存する庭園や発掘庭園の調査研究を進めてきました。奈文研学報『古代庭園の研究』2006、『平安時代庭園の研究』2011、『中世庭園の研究』2016に続き、近年は『近世庭園の研究』2022をまとめました。
また、地方公共団体が実施している庭園の総合的・個別的な調査への協力をおこなうとともに、奈文研が所蔵する庭園関係の図面等資料の整理およびデジタル化を進めています。

  • 写真5 庭園の調査

  • 写真6 図面平城宮跡の茅の活用に関する試行

お知らせ

●遺跡整備・活用研究集会の報告書PDFを公開しております。

»報告書・資料

●平城宮跡の活用に関する実践的研究の一環として「よみがえった古代のボードゲーム かりうち」を普及させるプロジェクトを実施しています。

»「かりうち」プロジェクト

●庭園に関する調査研究のページで、庭園史家・作庭家の森蘊(もり・おさむ)とその旧蔵資料について紹介しています。
»庭園に関する調査研究

調査研究

遺跡整備に関する調査研究

 各種の遺跡の保存・管理・活用に関する調査研究を実施しています。そして、全国各地で実施されてきた遺跡整備の実績を踏まえつつ、遺跡整備に関する資料の刊行やデータベース化等をおこなって情報の普及をはかっています。また、これらの情報・経験を活かして、地方公共団体が実施する遺跡整備事業等の検討作業にも協力しています。

庭園に関する調査研究

 庭園の歴史および保存修理等に関する調査研究をおこなっています。近年は、庭園の歴史に関する研究会を継続的に開催し、庭園史学だけでなく建築史学、国文学、美術史学等の他分野の専門家を交えて日本の庭園に関する討論を行い、研究を進めています。また、庭園遺構の発掘調査成果を収集整理し、データベースとして公開しています。その他、奈良市における庭園の悉皆的調査に取り組んでいます。

 近年は「森蘊 旧蔵資料」の整理を進めています。内容と利用方法については、こちらをご覧ください。 

 

■森蘊に関するサイトが開設されました。

「昭和の作庭記―森蘊の足跡を辿る―」https://www.mori-osamu.com/
企画・制作:エマニュエル・マレス
撮影・HP作成:暮らしのモンタージュ(澤崎賢一)
協力:奈良文化財研究所
支援:科学研究費助成事業(若手研究B)/課題番号(17K18447)

 

■森蘊に関するweb展示のご案内

京都産業大学ギャラリーが来年度に予定している企画展示「京都の庭を守った人たち―森蘊と法金剛院―」のプレ展示として、 2020年8月20日より、下記のリンク先でweb展示がおこなわれております。


京都産業大学ギャラリー「京都の庭を守った人たち―森蘊と法金剛院―」web展示
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20200820_869_web.html

刊行物

報告書・資料

〔遺跡整備〕

●『遺構露出展示に関する調査研究報告書』
 2013年3月25日刊行、ISBN978-4-905338-26-0 《配布可》

●DVD版『日本における遺構露出展示に関するデータベース 遺構露出展示に関する調査研究(平成19年度~平成24年度)』
遺跡整備研究室Sites Management Research Section 刊行物  2013年3月《配布可》

●CD版『大規模遺跡の整備・管理・活用に関する調査(平成13年度~17年度)』
 2006年3月


●『遺跡の教育面に関する活用 ―平成18年度 遺跡整備・活用研究集会(第1回)報告書―』
 2007年1月24日刊行、ISBN978-4-902010-60-2


●『遺跡の保存管理・公開活用と指定管理者制度 ―平成19年度 遺跡整備・活用研究集会(第2回)報告書―』
 2008年12月25日刊行、ISBN978-4-902010-68-8


●『埋蔵文化財の保存・活用における遺構露出展示の成果と課題 ―平成20年度 遺跡整備・保存修復科学合同研究集会 報告書―』
 2009年12月25日刊行、ISBN978-4-902010-78-7 《配布可》


●『遺跡内外の環境と景観 ~遺跡整備と地域づくり~ ―平成21年度 遺跡整備・活用研究集会(第4回)報告書―』
 2010年12月25日刊行、ISBN 978-4-902010-91-6


●『地域における遺跡の総合的マネジメント ―平成21年度 遺跡整備・活用研究集会(第5回)報告書―』

 2011年12月25日刊行、ISBN978-4-905338-05-5

 

●『自然的文化財のマネジメント ―平成23年度 遺跡等マネジメント研究集会(第1回)報告書―』

 2012年12月20日刊行、ISBN978-4-905338-20-8
 

●『パブリックな存在としての遺跡・遺産 ―平成24年度 遺跡等マネジメント研究集会(第2回)報告書―』

 2013年12月21日刊行、ISBN978-4-905338-37-6
 

●『計画の意義と方法 ~計画は何のために策定し、どのように実施するのか?~ ―平成25年度 遺跡整備・景観合同研究集会報告書―』

 2014年12月25日刊行、ISBN978-4-905338-45-1

 

●『史跡等の整備・活用の長期的な展開―経年によるソフト・ハードの変化と再生― 平成26年度 遺跡整備・活用研究集会報告書―』

 2015年12月10日刊行、ISBN978-4-905338-56-7

 

●『デジタルコンテンツを用いた遺跡の活用― 平成27年度遺跡整備・活用研究集会報告書―』

 2016年12月9日刊行、ISBN978-4-905338-71-0

 

●『近世城跡の近現代― 平成28年度 遺跡整備・活用研究集会報告書―』

 2017年12月15日刊行、ISBN978-4-905338-81-9

 

●『史跡等を活かした地域づくり・観光振興― 平成29年度 遺跡整備・活用研究集会報告書―』

 2018年12月10日刊行、ISBN978-4-905338-95-6

 

●『史跡等の保存活用計画―歴史の重層性と価値の多様性― 平成30年度 遺跡整備・活用研究集会報告書』

 2020年3月16日刊行、ISBN978-4-909931-24-5 《配布可》


『歴史的脈絡に因む遺跡の活用―儀式・行事の再現と地域間交流の再構築― 令和2年度 遺跡整備・活用研究集会報告書』

 2021年3月31日刊行、ISBN978-4-909931-49-8 《配布可》

 

『移築された遺跡由来の遺構および石造物の現状と課題 令和3年度 遺跡整備・活用研究集会報告書』

 2023年3月20日刊行、ISBN978-4-909931-98-6 《配布可》

 

 

〔庭園〕

『Paradise and Gardens in Eastern Asia , Final Report of the International Expert Meeting on Paradise and Gardens in Eastern Asia』
 2009年11月30日刊行、ISBN978-4-902010-77-0


『東アジアにおける理想郷と庭園 ―「東アジアにおける理想郷と庭園に関する国際研究会」報告書―』
 2009年11月30日刊行、ISBN978-4-902010-76-3


●『平安時代庭園の研究 -古代庭園研究Ⅱ-』 奈良文化財研究所学報第八十六冊 研究論集17
 2011年3月31日刊行


●『鎌倉時代の庭園 -京と東国- 平成23年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2012年3月31日刊行


●『禅宗寺院と庭園 平成24年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2013年3月31日刊行


●『室町時代の将軍の庭園 平成25年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2014年3月31日刊行


●『戦国時代の城館の庭園 平成26年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2015年3月31日刊行  《配布可》


●『中世庭園の研究 ―鎌倉・室町時代―』奈良文化財研究所学報第九十六冊 研究論集18
 2016年3月31日刊行


●『織豊期~江戸時代初期の庭園 平成28年 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2017年3月31日刊行


●『回遊式庭園と庭園文化 平成29年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2018年3月31日刊行


●『茶の文化と庭園 平成30年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2019年3月31日刊行


●『庭園文化の近世的展開 令和元年度 庭園の歴史に関する研究会 報告書』
 2020年3月31日刊行


『近世庭園の研究 ―安土桃山・江戸時代―』奈良文化財研究所学報第101冊 研究論集19
 2022年3月31日刊行

シンポジウム

遺跡整備研究室の
シンポジウム等の
報告書一覧はこちら

遺跡整備に関する研究集会

令和4年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「近世・近代における旧跡・名所の保存顕彰」
開催期日 :令和5年3月21日(火)
開催場所 :奈良文化財研究所 本庁舎 2F大会議室+オンライン

令和3年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「移築された遺跡由来の遺構および石造物の現状と課題」
開催期日 :令和4年3月15日(火)
開催場所 :奈良文化財研究所 本庁舎 4F会議室

令和2年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「歴史的脈絡に因む遺跡の活用-儀式・行事の再現と地域間交流の再構築-」
開催期日 :令和2年10月16日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 本庁舎 大会議室

平成30年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「史跡等の保存活用計画-歴史の重層性と価値の多様性-」
開催期日 :平成30年12月21日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂

 
平成29年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「史跡等を活かした地域づくり・観光振興」
開催期日 :平成29年12月22日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂

平成28年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「近世城跡の近現代」
開催期日 :平成28年12月16日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成27年度 遺跡整備・活用研究集会

テーマ :「デジタルコンテンツを用いた遺跡の活用」
開催期日 :平成27年12月18日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成26年度 遺跡等整備・活用研究集会

テーマ :「史跡等の整備・活用の長期的な展開 ―経年によるソフト・ハードの変化と再生―」
開催期日 :平成27年1月16日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成25年度 遺跡等マネジメント研究集会(第3回) 遺跡整備・景観合同研究集会

テーマ :「計画の意義と方法 ~計画は何のために策定し、どのように実施するのか?~」
開催期日 :平成26年1月24日(金)~25日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成24年度 遺跡等マネジメント研究集会(第2回)

テーマ :「パブリックな存在としての遺跡・遺産」
開催期日 :平成24年12月21日(金)~22日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成23年度 遺跡等マネジメント研究集会(第1回)

テーマ :「自然的文化財のマネジメント」
開催期日 :平成24年2月16日(木)~17日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成22年度 遺跡整備・活用研究集会(第5回)

テーマ :「地域における遺跡の総合的マネジメント」
開催期日 :平成23年1月21日(金)~22日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成21年度 遺跡整備・活用研究集会(第4回)

テーマ  : 「遺跡内外の環境と景観 ~遺跡整備と地域づくり~」
開催期日 : 平成22年1月28日(木)~26日(金)
開催場所 : 奈良市ならまちセンター


平成20年度 遺跡整備・活用研究集会(第3回) 遺跡整備・保存修復科学合同研究集会

※埋蔵文化財センター保存修復科学研究室と合同開催。
テーマ  :「埋蔵文化財の保存・活用における遺構露出展示の成果と課題」
開催期日 :平成21年1月30日(金)~31日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成19年度 遺跡整備・活用研究集会(第2回)

テーマ  :「遺跡の保存管理・公開活用と指定管理者制度」
開催期日 :平成20年1月25日(金)~26日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


平成18年度 遺跡整備・活用研究集会(第1回)

テーマ  :「遺跡の教育面に関する活用」
開催期日 :平成19年1月25日(木)~26日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂


庭園に関する研究会


令和元年度 庭園の歴史に関する研究会

「庭園文化の近世的展開」
開催期日 :令和元年11月24日(日)
開催場所 :奈良文化財研究所 本庁舎 4階会議室


平成30年度 庭園の歴史に関する研究会

「茶の文化と庭園」
開催期日 :平成30年10月21日(日)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成29年度 庭園の歴史に関する研究会

「回遊式庭園と庭園文化」
開催期日 :平成29年10月29日(日)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成28年度 庭園の歴史に関する研究会

「織豊期~江戸時代初期の庭園」
開催期日 :平成28年11月27日(日)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成27年度 研究論集刊行

『中世庭園の研究 ―鎌倉・室町時代―』奈良文化財研究所学報第九十六冊 研究論集18』
(2015年3月31日刊行)


平成26年度 庭園の歴史に関する研究会

「戦国時代の城館の庭園」
開催期日 :平成26年10月25日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成25年度 庭園の歴史に関する研究会

「室町時代の将軍の庭園」
開催期日 :平成25年11月2日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成24年度 庭園の歴史に関する研究会

「禅宗寺院と庭園」
開催期日 :平成24年10月13日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成23年度 庭園の歴史に関する研究会

「鎌倉時代の庭園 -京と東国-」
開催期日 :平成23年10月29日(土)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成22年度 研究論集刊行 

『平安時代庭園の研究 -古代庭園研究Ⅱ-』 奈良文化財研究所学報第八十六冊 研究論集17
(2011年3月31日刊行)


平成21年度 古代庭園研究会

「東アジアにおける理想郷と庭園に関する国際研究会」
開催期日:平成21年5月19日(火)~21日(木)
開催場所:奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成20年度 古代庭園研究会 

「平安時代庭園に関する研究 3」
開催期日 :平成20年10月31日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成19年度 古代庭園研究会 

「平安時代庭園に関する研究 2」
開催期日 :平成19年11月15日(木)~16日(金)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


平成18年度 古代庭園研究会 

「平安時代庭園に関する研究 1」
開催期日 :平成18年10月25日(水)
開催場所 :奈良文化財研究所 平城宮跡資料館 小講堂


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