埋蔵文化財センターは、文化庁埋蔵文化財対策調査会が、高度経済成長に伴う開発と埋蔵文化財調査の爆発的増大という課題への対応として、国立埋蔵文化財センター設置を1973年に提案したことをうけて、1974年に奈文研に付設されました。その後、全国の埋蔵文化財調査体制の充実といった状況変化を受けて、組織の改編をおこなってきました。そして現在は、主として埋蔵文化財をはじめとする文化財の保護を、自然科学分野から支える技術開発を担っています。
奈文研では、国立文化財機構の他の各施設と適切に役割分担をしながら、日本全国各地の文化財保護・調査・研究において普遍性が高く、かつその基礎を支える技術である一方、全国の文化財調査機関が十分に技術を保有していない分野についての開発と普及を目指して研究を進めています。
近年の文化財保護・調査での科学技術の利用は目覚ましいものがあります。こうした中、私たち奈文研埋蔵文化財センターでは、いわゆる「最先端」の研究を行うと同時に、先ほど述べた目標達成のため、全国の文化財保護を支える実用的・実践的な技術・手法の開発に重点をおいている点に、特徴があります。
こうした、実用的・実践的な技術・手法の開発は一見地味で、「野心的ではない」「つまならい」ように見えるかもしれません。しかし、我が国の文化財保護、ひいては世界の文化財保護の底上げに貢献するという意味で、非常に重要な仕事だと考えています。
そして、この目的達成のため、保存修復科学研究室・環境考古学研究室・年代学研究室・遺跡調査技術研究室の4室体制で取り組んでいます。