古墳壁画室 Tumulus Mural Painting Section

古墳壁画室について

古墳壁画室は、2024年4月に飛鳥資料館に創設された新しい研究室です。長年、奈文研が取り組んできたキトラ・高松塚古墳壁画の保存管理・調査研究に関する蓄積を踏まえて、両古墳壁画を未来へと守り伝えていくための業務に取り組んでいます。国宝キトラ古墳壁画の公開活用業務を柱としつつ、関連する飛鳥地域の古墳や遺跡、日本各地に所在する装飾古墳、さらには東アジアの墓室壁画に関する調査・研究を通して、高松塚・キトラ古墳の価値を深め、国内外へと広く情報発信していくことを目標としています。

  • キトラ古墳壁画の石室内撮影 2004年

  • 高松塚古墳石室解体にともなう発掘調査 2007年

年4回開催される国宝キトラ古墳壁画の公開では、東・西・南・北の各壁面や天井に描かれた壁画について、パンフレットやパネルで解説をおこない、あわせて出土品や関連資料の展示をおこなっています。また、キトラ古墳壁画への関心を深めていただく機会として、講演会やプラネタリウム(移動式)による天文図解説などのイベントも定期的に開催しています。詳細はキトラ壁画保存管理施設のホームページ(https://www.nabunken.go.jp/shijin/about/)をご参照ください。

  • キトラ古墳壁画の公開風景

  • 移動式プラネタリウムによる天文図解説

また古墳壁画室では、キトラ古墳や高松塚古墳が築かれた歴史的背景を明らかにするための調査研究にも取り組んでいます。壁画や出土品、古墳そのものに対する研究はもとより、同時代の寺院・宮殿との関連性も視野に、古代国家成立の地である飛鳥に二つの壁画古墳が築かれた歴史的意義を明らかにしたいと考えています。また、東アジアの壁画墓との比較研究のために、中国・韓国での現地調査も積極的に実施していく予定です。

  • 中国・長安周辺の壁画墓視察

  • 韓国・扶余王陵苑の視察と意見交換

さらに古墳壁画室では、キトラ・高松塚古墳の活用を促進するため、発掘調査で得られたデータを用いて、古墳現地で壁画や石室の構造を視聴できるVRコンテンツの開発に取り組んでいます。あわせて、飛鳥・藤原地域のGISデータに関連古墳の調査成果を集積し、飛鳥の重要古墳に関する情報を網羅的に閲覧できるコンテンツの作成などを随時、進めていく予定です。壁画・装飾古墳を保存・管理していく方法や技術の研究にも、継続的に取り組んでいくことにしています。今後の古墳壁画室からの情報発信にご期待ください。

  • キトラ古墳とその周辺地形のVR画像

  • 高松塚古墳発見時石室内のVR画像

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