埋蔵文化財センター保存修復科学研究室 主任研究員
良好な状態で出土した金属製遺物においても、発掘後の展示中に腐食し、学術的な価値が失われることが、世界的に問題となっています。私は出土金属製遺物をより安全に、効率的に保存・管理するシステムを構築するため、研究に取り組んでいます。室内実験や遺跡での暴露試験、模擬古墳による実験的な手法を用いて、陸域の遺跡、古墳、海底遺跡での埋蔵時の金属製遺物の腐食を検討し、埋蔵環境がその腐食に及ぼす影響を体系的に理解しようと試みています。また、鉄製遺物の安定化処置である脱塩法の開発、保管時のその腐食機構を検討しています。
文化財科学、保存科学
2018年 | 柳田 明進・脇谷 草一郎・髙妻 洋成、保管・展示時における出土鉄製文化財の腐食に及ぼす湿度の影響、日本建築学会 環境工学委員会 第48回熱シンポジウム「役に立つ湿気研究」、pp.35-40 |
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2017年 | 柳田 明進・池田 榮史・脇谷 草一郎・髙妻 洋成、鷹島神崎遺跡における鉄製遺物の腐食に及ぼす埋蔵深度および共存する木製遺物の影響、考古学と自然科学 74、pp.45-55 |
2017年 | 柳田 明進・脇谷 草一郎・髙妻 洋成、交流インピーダンス法を用いた埋蔵環境下における金属製遺物の腐食速度に関する研究、奈良文化財研究所紀要2017 pp.62-63 |
2015年 | 脇谷草一郎・柳田明進・小椋大輔・鉾井修一、模擬古墳から検討した埋蔵環境下における遺物保存に関する研究 -石室内環境が金属製遺物の腐食に及ぼす影響について-、奈良文化財研究所紀要2015、pp.66-67 |