文化的景観研究集会(第3回)
テーマ :「文化的景観の持続可能性 生きた関係を継承するための整備と活用」開催期日:平成22年12月16日(木)~17日(金)
開催場所:奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂
詳細 :研究集会プログラム等(PDF形式)
プログラム
12月16日(木) 13:00~17:40 | |
12:30~ | 受付開始 |
13:00~13:05 | 開会挨拶 田辺征夫(奈良文化財研究所 所長) |
13:05~13:10 | 趣旨説明 惠谷 浩子(奈良文化財研究所) |
基調講演 | |
13:10~14:10 | 篠原 修 (政策研究大学院大学) |
(仮)生きたものとしての文化的景観の継承 | |
【第Ⅰ部 保存計画と整備手法】 | |
14:10~14:50 | 広田 純一 (岩手大学 農学部) |
(仮)文化的景観における保全型農地整備 | |
<14:50~15:00 休憩> | |
15:00~15:40 | 西山 穏 (㈱ 西日本科学技術研究所) |
(仮)文化的景観とエコロジカル・デザイン | |
15:40~16:20 | 篠沢 健太 (大阪芸術大学芸術学部) |
(仮)ランドスケープデザインからみた文化的景観 | |
16:20~17:00 | 清水 重敦 (奈良文化財研究所) |
(仮)変化を埋め込んだハード整備とは | |
<17:00~17:10 休憩> | |
初日の総括 | |
17:10~17:40 | 座長:清水 |
パネリスト:篠原氏、広田氏、西山氏、篠沢氏 | |
【情報交換会】 | |
18:00~19:30 | 於:平城宮跡資料館講堂、会費:4,000円 |
2月17日(金) 9:00~15:30 | |
8:30~ | 受付開始 |
【第Ⅱ部 文化的景観を支えるソフト】 | |
基調報告 | |
9:00~9:40 | 小浦 久子(大阪大学大学院 工学研究科) |
(仮)文化的景観と持続可能な都市計画 | |
9:40~10:10 | 山本 晃一郎 (宇治市茶生産組合) |
(仮)文化的景観は茶業を救えるか | |
10:10~10:40 | 矢島 宏雄 (千曲市教育委員会) |
(仮)地域で期待される文化的景観の役割 | |
<10:40~10:50 休憩> | |
10:50~11:30 | 小林 忠雄 (北陸大学 未来創造学部) |
(仮)文化的景観としての都市文化 | |
11:30~12:10 | 井上 典子 (文化庁 文化財部記念物課) |
(仮)保存計画と整備活用の現状と可能性 | |
<12:10~13:30 昼食> | |
【第Ⅲ部 総合討議 文化的景観の持続可能性】 | |
13:30~15:25 | パネルディスカッション |
座長:西村 幸夫 (東京大学 先端科学技術センター) | |
パネリスト:篠原氏、広田氏、小浦氏、矢島氏、小林氏、井上氏 | |
15:25~15:30 | 閉会挨拶 清水 重敦 (奈良文化財研究所) |
開催趣旨
奈良文化財研究所では、文化的景観について関係者間で議論・検討するとともに、広く情報を公開・共有する場を提供することを目的として、平成20年度より文化的景観研究集会を開催しております。
第1回目の研究集会では、文化的景観の理念や対象といったアウトラインを確認し、情報の共有と課題の掘り下げを行いました。続いて平成21年度に開催した第2回目の研究集会では、計画をにらんだ調査及び価値評価の方法、特に文化的景観に内在する変化のシステムの捉え方を主題としました。これら2回の研究集会を通じて、文化的景観は、個々の有形の要素だけではなく、文化的景観に関わる人間の行為や生き物の生態系など無形の要素が関係し合いながら成り立ち、常に一定の変化をしながら徐々に進化しているものであるという特質を得ることができました。
この成果を受け、第3回目の文化的景観研究集会では、「文化的景観の持続可能性」というテーマの下に、保存計画と保全行為の実践について検討する場としたく思います。
文化的景観は、変化を前提とするものであることで、他の文化財の範疇と比べて、とりわけ保護のあり方に顕著な違いが生じることになります。変化するといっても、そこには文化的・地域的な文脈に従った変化の「プロセス」があり、変化しながらも継承される「しくみ」があるはずです。文化的景観の保護とは、この「プロセス」と「しくみ」をもって形成されてきた地域環境の持続可能性を支えることであり、その持続は、土地と人、人と人、人とモノ、モノとコト等の相互の調和した関係があって初めて可能となるものでしょう。今回の研究集会では、現在ある価値を計画や整備により守り、また鍛えることで、より持続的なものとなるよう、理念と実践の両面から広く考えていきたいと思います。
初日は、文化的景観の保存計画において考えるべき諸課題について、特にハード面に関して論じます。具体的には、文化的景観における都市計画の考え方、農山村から都市域における整備活用の手法といった内容について、実例をもとに理念から提案までを取り上げます。二日目は、生業・生活や無形要素の扱い、組織・体制のあり方といったソフト面について、現場に立脚した視点で論じます。そして総合討議を通じ、地域内の関係性を持続的に継承するために保護の実践に込めるべき視点と、整備・活用の今後について考察するとともに、現在の文化的景観制度が果たす役割についても議論したいと思います。