このブログでは、冬期企画展「飛鳥の考古学2020」で展示中の資料のみどころを紹介しています。ここからは飛鳥寺西門前から出土した土管のお話を2回に分けてします。
展示室の奥にずらっと並んでいる土管たち(図1)。これらは1996年度に奈良文化財研究所(奈文研)の調査で出土したものと、2009年度に明日香村教育委員会の調査で出土したものです。出土地点の名称は、奈良文化財研究所が「飛鳥寺西門地区(飛鳥寺1996-1次調査)」、明日香村教育委員会が「飛鳥寺西方遺跡」と異なっていますが、発掘調査の結果、一連の暗渠(地下に設けられた水路)とわかりました(図2)。
実際に土管そのものを観察すると、そっくりな色や形、作り方をしています。本来ならば一本のつながった暗渠なので、この土管たちも同時期に作られたものでしょう。しかし暗渠として、土の中に埋められて離れ離れになり、現在は奈文研と明日香村教育委員会でそれぞれ保管しています。今回、展示室で約1400年ぶりに再会したことで、思い出話に花が咲いているかもしれませんね。(つづく)
【参考文献】
花谷浩1997「飛鳥寺の調査―1996-1・3次、第84次 1西門地区の調査(1996-1次)」『奈良文化財研究所年報1997-II』
明日香村教育委員会文化財課 編2020『飛鳥寺西方遺跡発掘調査報告書』(明日香村文化財調査報告書第14集)
◆飛鳥の考古学2020
2021年1月22日(金)~3月14日(日) ※月曜休館
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図1 土管展示風景
図2 土管出土地点
2021年03月03日(水曜日)