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「飛鳥の考古学2022」こぼれ話(第7回) ― 漆で接いだ土器

会場で、来場者の方が興味深く見られている土器があります。「石神遺跡SD1347A出土の土器群」として展示しているものの中にある、「漆接ぎの痕跡がある皿蓋(さらふた)」としているものです。

この土器は石神遺跡のSD1347Aと呼んでいる南北方向の溝から出土しました。一般的に、発掘調査では土器は割れた状態で出てきます。そのため、調査や整理、展示をする際には、現代の私達が接着剤等を使って元の形に復元します。しかし驚いたことに、この土器には7世紀の人が、割れた部分を接着して直した痕跡がありました。接着剤には漆が使われていました。同じ溝からは漆が付着した土器も出ていていることから、近くに漆工房もあったようなので、身近にあった漆で修理したのでしょうか。とても大きな蓋ですので、貴重な品だったのか、割れてしまったにもかかわらず新しいものには交換できず、修理してまで使ったようです。

古代の人が日常の中で悪戦苦闘した風景を垣間見ることができる一品です。

 

漆接ぎの痕跡がある皿蓋の画像

漆接ぎの痕跡がある皿蓋(割れ口に沿って茶色く変色している部分が漆で接いでいる箇所)

 

◆変形忍冬唐草文軒平瓦6647Cの話 その1はこちら

◆「飛鳥の考古学2022」こぼれ話(第8回) ― ポスター裏話はこちら

2023年03月03日(金曜日)

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