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秋期特別展 注目の展示品を紹介!

秋期特別展「屋根を彩る草花飛鳥の軒瓦とその文様」の会期も残り1ヶ月を切っております。 今回は展示品の中で注目してもらいたいものを紹介したいと思います。

 

「海外の蓮華文」のコーナーに灰色の四角い形をしたものが展示してあります(写真1)。これは「磚(せん)」と呼ばれるもので、今風に言えばレンガです。磚には床に敷き並べて使うものもありますが、これは積み重ねて壁を作るために使われた磚です。多くの磚はただの構築材のため、何も装飾を施さないことが一般的なのですが、この磚には半分に切ったような蓮華文があしらわれています。

 

なぜ模様がついているかと言うと、お墓の部屋(墓室)の壁を作る際、要所要所を装飾するためです。あえて半分にした蓮華文にしているのは、2個を組み合わせて使うことで、より大きな蓮華を表現できるからでしょう。しかも模様を刻んだ型(笵(はん))は1種類でよく、出来上がったものを上下反転すれば左右どちらでも使えるため、大変効率的です。磚は、今のレンガと同じく、沢山の数を組み合わせて使うために、大きさの規格があり、1個分の幅だとあまり大きな蓮華が表現できません。そのために編み出されたのがこの半分だけ蓮を描いた磚なのです。

 

展示品のような蓮華文磚が使われている例としては、韓国公州市の世界遺産・宋山里古墳群にある武寧王陵で使われているものが有名です(写真2)。

 

展示では一つしか陳列することができなかったのですが、皆さんにも、実際に使われている時の完成した蓮華文をイメージしていただきたく、下に鏡を置いて、鏡面反射によって再現してみました。本来は縦長に置いて使うものなのですが、ここでは展示の都合上、横長に置いています。蓮華文で内部が飾られたお墓は、極楽浄土のイメージだったのかもしれませんね。

 

※写真2は国立公州博物館 2009『武寧王陵:新報告書』1 墳墓(1 P.199より引用。

 

秋期特別展「屋根を彩る草花 ―飛鳥の軒瓦とその文様」

20211015日(金)~1219日(日) ※月曜休館

詳細はこちら

 

鏡の上に蓮華もんせんを置き、磚を重ねた時の様子がわかるように展示している画像

写真1 蓮華文磚 展示のようす

韓国にあるぶねい王陵内のせんどう壁面できれいな磚が積み重ねられている様子の画像

写真2 韓国公州市 武寧王陵 羨道壁面

2021年12月06日(月曜日)

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