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【飛鳥のくらし】斜面を彩るくだもの

晩秋から冬の飛鳥では、たわわに実るみかんや柿の実が山里の斜面を彩ります(写真1)。春にかけてはいちごの栽培が活発化し、ご当地ブランドのあすかルビーや古都華(ことか)が農産物直売所にところ狭しと並びます。夏にはぶどう狩りの旗が沿道に立ち、甘い香りがただよいます。

 

こうした多様なくだものは、起伏に富んだ地形を活かして栽培されています。たとえば明日香村上平田(かみひらた)では、田んぼが広がる谷底にいちごのビニールハウスが設けられ、水はけのよい周りの丘の斜面がぶどうやみかんの畑に利用されています(写真2)。

 

くだもの作りの風景は果樹園だけにとどまりません。集落のなかに点在する、屋根の上に越屋根(こしやね)が設けられたこの建物(写真3)。これは収穫した後のみかんの保管と熟成に使われたみかん蔵です。戦後からみかん栽培が盛んになった明日香村では、みかんを蔵の中で数か月間熟成させ、大阪などの都市部の需要に応じて出荷していました。今でも数軒のみかん蔵は現役で使われています。みかん蔵を特徴づける越屋根は換気口で、風通しを良くしてみかんを腐らせることなく、長い間にわたって甘く熟成させる役割があります。越屋根のある集落の風景は、くだもの作りの工夫が産んだ、くらしの造形です。

 

交通や流通が発達し、そして飛鳥の歴史と文化が脚光を浴びるなかで、飛鳥で栽培されるくだものは都市のひとびとの味覚を楽しませるだけでなく、くだもの狩りなどのレクリエーションを通して、ひとびとに癒しをもたらすようになりました。さらに、棚田オーナー制度と似た仕組みで、みかんや柿の木を借り受け、地元農家の指導を受けながら農作業に携わることもできます(写真4)。飛鳥のくらしの風景は地元の住民だけでなく、たくさんの飛鳥ファンの手に支えられて輝きを増しているのです。

 

第14回写真コンテストのテーマは「飛鳥のくらし」です。風景や物、作業、行事など、6月30日(金)まで「飛鳥のくらし」にまつわる写真を広く募集しています。ご応募いただいた写真は7月14日(金)から9月18日(月・祝)まで展示します。

応募方法などの詳細はこちら

 

なだらかな斜面に植えられている柿畑の画像

写真1 明日香村上居(じょうご)の柿畑

うねびやまが遠くに見える丘陵にあるミカン畑の画像

写真2 地形を巧みに利用した上平田のくだもの作り

こし屋根が4つ付いたミカン蔵の画像

写真3 明日香村上平田のみかん蔵

大きな柑橘類をはさみを使って収穫している画像

写真4 オーナーによる柑橘類の収穫

2023年06月21日(水曜日)

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