2020年の新たな奈文研オリジナルグッズとして製作したエコバッグ「飛鳥の土器」には、飛鳥地域の発掘調査で見つかった土器を掲載しました。ここでは、エコバッグに掲載した土器や、エコバッグ製作秘話をご紹介したいと思います。
発掘調査で出土する食器には、さまざまな形や素材のものがあります。古代に使われていた食器には、木製や金属製のものもありましたが、そのなかでも最も広く使われたのは土で作った器でした。
飛鳥時代より前の食事では、丸底の土器が多く使われていました。飛鳥時代に入ると、古墳時代の伝統をひく丸底の土器とともに平底の土器が作られ始めます。そして、飛鳥時代の後半になると、平底の土器や、底に低い台がついた土器がメインで使われるようになります。このように土器の形が変化していった背景には、「食器を手に持ち、手で料理をつかんで食べていた」時代から、「食器を置いて箸や匙を用いて食事をする」時代へと食事方法が変化したことを読み取れます。
エコバッグに掲載した土器は、すべて飛鳥地域から出土した須恵器です。これらの土器は古代の土器研究の基準となっている重要な資料です。上から下へいくにつれて古い時代から新しい時代へ土器の形が変化していくようすがみえるレイアウトにしました。
奈良文化財研究所 藤原宮跡資料室では、飛鳥・藤原地域で出土した土器を時代ごとに整理して展示しています。また、古代の食事のようすを復元したコーナーもありますので、土器がどのように使われていたのかも見学できるようになっています。
エコバッグの製作にあたり、おもに土器などの研究をおこなっている都城発掘調査部 考古第二研究室の研究員に協力をお願いしました。どの土器を使うか、土器のシルエットは図面と差がないかなど、細かい部分にも目を配り、何度も確認や打ち合わせを重ね、エコバッグが完成しました。
六一書房オンラインショップ(エコバッグはこちらからも購入できます)
2020年07月31日(金曜日)