秋期特別展「はぎとり・きりとり・かたどり-大地にきざまれた記憶-」、好評開催中です。
今回はタイトルの2番目、「きりとり」について説明します。
考古学・保存科学での「きりとり」は、「発掘現場の土の一部を切り取ること」を意味します。
でも、ただ切り取るだけでは、もろい土の固まりは壊れてしまいます。
そこで、保存科学の出番です。
切り取る範囲の周囲の土を掘り下げて、遺構の表面を紙などで保護し、
ダンボールなどの型枠をはめて、 遺構を包み込むように硬質発泡ウレタン樹脂を流し込み
硬質発泡ウレタン樹脂が固まったら、 遺構を地面から切り取る。
このあと、研究室で土を固め、付属する出土品も保存処理をして、
保存・展示できる状態にします。
実際の作業は、遺構の状態や大きさによって、このほかにも様々な対応策がとられます。
切り取りは、現場の土の固まりをそのまま保存するため、作業も力仕事、展示も力仕事!!
今回展示している山田道の敷葉遺構の切り取りも、小ぶりですが、
大人が二人がかりでも運ぶのに一苦労しました。
でも、この技術のおかげで、飛鳥時代に敷きつめた木の枝を、
21世紀の我々が間近にみられるのです。
2014年11月12日(水曜日)