秋期特別展「はぎとり・きりとり・かたどり-大地にきざまれた記憶-」、早くも会期後半になりました。
「かたどり」というと、何を連想されますか?
子供の手形を残したり、精巧なプラモデルのキットを作ったり...
DIYの世界でも、様々な材料の開発により、型取りが盛んにおこなわれています。
考古学の「型取り」も、発掘調査でみつかった遺構そのものの模型をつくる作業なので、原理は同じです。
でも、スケールが大きい!
型取り作業は、発掘現場での作業と、工房での作業の二段階にわけられます。
まずは、発掘現場で、遺構面にシリコーン樹脂を噴霧して遺構の型を取り、形を固定するために角材などで支持体をつくって、雌型を作成します。
次に、工房で、雌型に樹脂を流し込んで、遺構の形を再現した模型をつくります。
着色などの仕上げをして完成!
今年の春期特別展「いにしえの匠たち」で展示した、鉄釜の鋳造遺構(川原寺出土)も、 この型取りを利用してつくられました。
型取りは実物をもとにしているため、リアルな資料として、展示などにも活用できるのです。
現在展示中の高松塚古墳の地震痕跡の型取りは、古墳の墳丘に残された地割れをうつしとったレプリカです。
1.5m×1.1mもありますが、型取りした遺構面の一部にすぎません。
ぜひ展示室で、縦横に走る亀裂の大きさ、深さをご覧ください。
奈良は災害が少ない、なんて油断は禁物。地震への備えをしなくては・・・と感じさせられませんか?
2014年11月13日(木曜日)