企画展・特別展

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明日香村は、村面積の約65%を森林が占めています。
甘樫丘、栢森、真弓などの木の名前のついた地名や、槻木の広場や両槻宮などの『日本書紀』に登場する名称
からは、飛鳥の歴史と木との繋がりを感じさせます。

今では、村の大半はスギやヒノキの植林となっていますが、少し前にはクヌギなどの広葉樹の森が広がっていました。
扇状地の地形を生かした果樹園、薪炭の材料になった樹木。飛鳥の木は、飛鳥の人々の暮らしともつながってきました。

遺跡のかたわらに、集落のまわりに、古寺の境内に、すっくと生えた飛鳥の木。
飛鳥資料館写真コンテストでは、飛鳥の歴史と人々の営みを感じさせる飛鳥の木の写真を募集・展示します。

題材

木を題材とし、自然と人々の営みが一体となった飛鳥の魅力が伝わる写真

講評

第12回写真コンテストのテーマは『飛鳥の木』。コロナ禍によって移動にも制約があった中で、歴代2番目の応募者数となる160名の方々から作品をご応募いただきました。出品いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

「木を題材とし、自然と人々の営みが一体となった飛鳥の魅力が伝わる写真」に仕上がっているかどうか、言うのは簡単ですが写真で表現するにはハードルが高かったのではないでしょうか。審査にあたっては、飛鳥の歴史と人々の営みを感じることができる作品を選出させていただきました。

入賞作品をご覧いただければ一目瞭然ですが、色や光、構図や視点のそれぞれに特徴があって撮影者の目線や意図を感じられるものになっています。特に上位作品ともなると季節や時間帯など周到な準備と配慮がなされながら、最後には偶然性をも1枚の写真の中に見事に収められています。また、作品として仕上げる最終工程であるプリントでも手を抜いておられませんでした。 応募いただいた作品の中には、モニターでみたら良い写真なはずが、紙の選択や色の再現で残念な結果になっていると思われる作品もありました。もうひと手間かけた作品づくりを心がけることで、仕上がりもグッと違ってくると思います。次回を楽しみにしています。

次回のテーマは、令和4年が高松塚古墳壁画発見50周年の節目の年に当たるのを記念し、ズバリ直球勝負で「高松塚古墳」です。ご応募をお待ちしております。

第12回写真コンテスト授賞式特設サイトはこちら

入選作品

正一位 飛鳥木太政大臣「見守りの大銀杏」 西村充康 様

正一位「見守りの大銀杏」 西村充康様の写真

受賞コメント
今回、正一位の賞を頂き誠に有難うございます。 黄色い落ち葉で敷き詰められた絨毯の上で、近くの小学校の生徒さんたちが遊んでいました。落ち葉を拾い集めては、それを投げて・・・ みんな楽しそうでした。この写真は、子供たちが帰るときの様子を撮影させてもらったものです。去年からのコロナ禍の中、あの大銀杏は、 いつものようにそして何事も無かったかのように、今年も私たちを待ってくれていると思います。

講評
橘寺の門前にある大銀杏とその脇を帰る子供たちを収めた作品です。まず、銀杏の黄色と子供たちの赤い帽子、背後の緑の色調対比に目を奪われます。木の大きさは敷き詰められた落ち葉の面積と子供たちの小ささで表現され、手に持つ袋には銀杏狩りの成果がギッシリ。プリントも綺麗な発色で、構図からシャッターチャンスまで高いレベルでまとめられた作品です。恐るべし。

従一位 飛鳥之民選木太政大臣「古代のささやき」前田隼希様

従一位「古代のささやき」前田隼希様の写真

7月16 日(金)〜 8月29 日(日)の来館者投票により1位に選ばれた作品です。

受賞コメント
この度は、来館者投票で多くの作品の中から投票していただき、ありがとうございます。 明日香村は棚田やホタル、朝焼け、夕焼けなど、足を運びたくなる美しい景色がいっぱいです。この作品を撮影したのは、石舞台古墳周辺ですが、天候に恵まれないことが多く、何度もチャレンジしました。小学生のころから遠足やいちご狩り、レンタサイクルで観光したりと楽しい思い出がたくさんあります。ぜひ多くの方にも明日香村の魅力を知ってもらいたいと思います。

講評
夜の石舞台周辺の星空と木を幻想的に写しだした作品です。投票していただいた方からは、「空の色がとてもきれい」、「空が紫色でとても神秘的に感じた」、「仕事の終わりに赤紫の空をみて気分転換になります」など、空の色に心惹かれたという感想が多くみられました。

正二位 飛鳥木左大臣「雨後の光芒」東吉輝 様

正二位「雨後の光芒」東吉輝様の写真

受賞コメント
正二位という賞を頂きありがとうございます。今後の写真活動において大変励みになります。 栢森から林道を車で移動中、凄まじい程の光芒が目に入ってきました。これは撮るしかないでしょうw と車を停め撮影に。 太陽の光は力強さを感じるので入れたかったのですが、強い光線と柔らかい光線の表現が難しく、結局太陽は木に隠しました。

講評
植林された栢森の山道に降り注ぐ光芒の一瞬。逆光の中で杉の木肌を見せながら光芒のハイライトも収められており、現像からプリントに至る気配りが伺われます。お見事です。惜しむらくは画面中央にあって光芒があたる立て看板。木の背後に隠すことができたら、より幻想的に仕上がったと思いました。

正二位 飛鳥木右大臣「悠久」柳敏明 様

正二位「悠久」柳敏明様の写真

受賞コメント
小懇田宮跡伝承地の土壇上に、凛と一本の木が立ち、周りには広々と水田が広がっている。何とも言えない悠久の時を感じ、又、歴史の重みを醸し出す地でもある。 その一コマを切り撮った一枚である。

講評
本コンテストでは定番スポットといえる感もある古宮土壇ですが、畝傍山のシルエットと田植え直後の景色をマジックアワーによって綺麗に切り取った作品です。水田には土壇に佇む木影をピタリと写り込ませてシンメトリーな二分割構図でまとめられており、的確な技量をお持ちであることがわかります。

正三位 飛鳥木画卿「大役」奥西恵美子 様

正三位「大役」奥西恵美子様の写真

受賞コメント
伝統を守る人々の手で作られた太い縄を、川の両岸の木にかける作業を見て、びっくりしました。まさに綱掛!これぞ主役! そして「大役」この木!この役目の方!晴れ姿です。しかしこの日の為にいろいろな準備や段取りなど陰で支える力があればこそです。そんな村人の姿まで浮かんできました。コロナ感染もやまない今、悪霊を払うといわれている綱掛神事に私達もすがりたい気持ちです。

講評
「飛鳥の木」がテーマの中で人物を大胆に取り入れている視点が高く評価されます。稲渕の綱掛け神事(男綱)での一コマですが、作品名のとおり「大役」を 果たされている男性の緊張感とそれを受け止める「木」の年季ぶりの対比を日の丸構図によって明快に仕上げておられます。フィルムを使われる奥西さんの写真歴は作品コメントにも反映されており、頭が下がる思いです。

正三位 飛鳥木画卿「木陰の空想」近藤淸文 様

正三位「木陰の空想」近藤淸文様の写真

受賞コメント
この度は選出いただきまして、とても嬉しいです。ありがとうございます。 川原寺跡に立つ大木の木陰です。今では礎石だけが残る「謎の大寺」と呼ばれる川原寺のことをこの木陰で、勝手に空想するひとときはいかがでしょうか。 私は明日香村にはよく遊びにきますが、いつもスケジュールは組まず 足の向くまま気の向くままにのんびり楽しませてもらっています。

講評
川原寺を背景に配置することで、木の大きさが一層際立つ構図になっています。木陰のすぐ向こう側は太陽の光が明るく照らす快晴で、鮮やかなコントラストが爽やかな気持ちを呼び起こします。テーマを忠実に捉えた作品といえるでしょう。

正三位 飛鳥木画卿「未来を描く」登り山優樹 様

正三位「未来を描く」登り山優樹様の写真

受賞コメント
この度は選んで頂きありがとうございます。撮影場所は南淵請安先生のお墓で、反対側には談山神社の小さな祠や御神木などがあり周りには桜が植えられています。下から見上げ、木々のバランスに気を配ってフレーミングしました。この場所が満開の桜につつまれている様子を上手くまとめられたと思います。

講評
遣隋使として異国へ留学した南淵請安先生の墓ですが、ローアングルから仰ぎ見るように撮影されました。満開の桜を背景に取り入れて半逆光に光で撮ることでハイライトからシャドーまで明暗差が同居するドラマチックな仕上がりになっています。墓石の文字も視認できるように写し込まれている点にも配慮を感じました。

正四位 写真司

  • 正四位「棚田を見守る」本田和博様の写真
    「棚田を見守る」本田和博 様
    講評
    これ以上ない紅葉の時期を迎えた稲渕の大銀杏。斜光のタイミングを捉えることで美しく立体的な姿に仕上がっています。黄色と緑色に限定された配色の中に、あえて人物を写し込むことで銀杏のスケール感もよくわかるようになっています。縦画面にして背後の山並みとの奥行きを出したカットも見てみたくなりました。
  • 正四位「田植え準備」野口文男様の写真
    「田植え準備」野口文男 様
    講評
    夕暮れ時の古宮土壇と田植えの準備にとりかかる男性シルエットです。よく見られる構図ですが、夕日を樹影の間に配して画面全体をノスタルジックな色調にまとめることで雰囲気のある写真に仕上がっています。木の上部が微妙に切れてしまっているのと、男性・土壇・畝傍山がシルエットながら近接していて平面的に見えるのが惜しいと思いました。
  • 正四位「霧につつまれた林」森口好展様の写真
    「霧につつまれた林」森口好展 様
    講評
    普段見慣れた甘樫丘の園路も霧が立ち込めることで非日常の空間になりました。画面中央の大きな木を境界に、左右で明暗がピシッと異なる園路、それにシンクロするかのような服装の男性2人を配して異世界の印象を与えます。これは偶然なのでしょうか。そうしたタイミングを見逃さない森口さんの眼力とフットワークの軽さの賜物です。
  • 正四位「生きる」北浦一清様の写真
    「生きる」北浦一清 様
    講評
    万葉展望台にある榎を逆光でシルエットとして捉えながら、余分なものが写り込まないように低い位置から撮ることで見事に主役に引き立てられています。空気が澄んだ冬場の快晴時を狙って太陽の輝きを収めるなど、北浦さんの作品づくりに対する意欲がよく伝わってきました。

正五位 若手部門(10代・20代対象)「氣都倭既の倒木」石川佳介 様

正五位「氣都倭既の倒木」石川佳介様の写真

受賞コメント
倒木には画的な力強さや美しさ・魅力を感じるものの、倒木=破壊というマイナスなイメージで捉え、コンテストの題材に背く内容だと思い込んでいました。 しかし良いも悪いも、人や自然は膨大な時間を重ねて進化や淘汰を繰り返し、今の姿がある。そういう時間経過による姿の変化が美しい。 倒木からそんな物語性やメッセージが秘められているように感じた私は、そのままの姿を素直な構図に納め、この写真を応募しました。 飛鳥の魅力をこのような形で表現して共有し、貢献できることを、心から嬉しく思います。 今回の受賞は私にとって大きな励み・自信になり、家族や友達・知人に良い報告が出来たことが何より嬉しかったです。 栄誉ある賞を与えてくださり、ありがとうございました。

講評
前回は応募該当が無かった若手部門、今回は入賞作品がありました。木に対して引くか寄るかの作品に分かれましたが、入賞作は近接したものです。写したい倒木の細部をストレートに表現しつつ社殿を背景に写しこんでいる点が評価されました。もう少し絞ることで社殿として視認できそうです。氣都倭既神社という場所のセレクトに審査員一同驚かされました。

応募について

応募締切 2021 年6 月30 日(水)必着
展示期間 2021 年7 月16 日(金)〜 9 月12 日(日) 
(※月曜休館 ただし8月9日(月)は開館、8月10日(火)は休館 ※8月15日(日)は無料入館日
来館者投票期間 2021 年7 月16 日(金)〜 8 月29 日(日) 
(※月曜休館 ただし8月9日(月)は開館、8月10日(火)は休館 ※8月15日(日)は無料入館日
応募作品審査 奈良文化財研究所 写真室、景観研究室、飛鳥資料館 学芸室

協賛/後援

協賛

岡村印刷工業株式会社、コクヨマーケティング株式会社、NPO明日香の未来を創る会 明日香村稲渕棚田保全会 、両槻会

後援

文化庁、国土交通省近畿地方整備局国営飛鳥歴史公園事務所、明日香村、 一般財団法人明日香村地域振興公社、朝日新聞社 寺社文化財みらいセンター、 読売新聞奈良支局、毎日新聞奈良支局、奈良新聞社、NHK奈良放送局、 近畿日本鉄道株式会社

正一位・・・1名 旅行券5万円分(協賛者提供)

従一位・・・1名 飛鳥資料館オリジナルカメラストラップ(協賛者提供)
※来館者直接投票最多得票者 

正二位・・・2名 飛鳥資料館オリジナルグッズ

正三位・・・3名 ファインアート・プリントクーポン

正四位・・・4名 コクヨプロフェッショナル写真用紙(協賛者提供)

正五位・・・1名 コクヨプロフェッショナル写真用紙(協賛者提供)
※10代・20代対象の若手部門

入賞者副賞

飛鳥の稲渕の棚田の新米・飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・副賞

応募者全員の特典

応募作品を飛鳥資料館で展示!
(基本的に全作品を展示する予定ですが、応募多数の場合は、全作品を展示できない場合もありますので、ご了承ください。)

注意事項

  • A4、四つ切、ワイド四つ切サイズのいずれかにプリントし、飛鳥資料館へ(締め切り6月30日必着)郵送してください。
  • 応募作品は一人1点まで。
  • 応募票は必要事項を記入し、写真の裏にマスキングテープなどで簡単に剥がれるもので貼り付けてください。
  • 応募作品は応募者自身が撮影創作したものに限ります。
  • 応募作品に人物の顔が大きく写る場合は、被写体の許諾を得てください。
  • 過去に写真コンテスト等で入賞・入選した作品は除きます。
  • 応募して頂いた写真の著作権は作者に帰属しますが、無償で自由に使用する権利が当研究所に帰属します。
  • 応募作品は返却できませんので、ご了承ください。
  • 入賞作品につきましては、フィルムもしくはデジタルデータの提供をお願いします。
  • 撮影にあたってはマナーを守り、他人に迷惑をかけないようお願いします。

結果発表について

飛鳥資料館HP、Facebookで入賞作品を発表します。
入賞者の方へは、飛鳥資料館から封書にてご連絡いたします。

写真コンテストのよくある質問

写真コンテストに関連して、よくお問い合わせのある質問をまとめましたので、応募の際に参考にしてください。

Q. 1人が応募できる作品の点数は?

A. 1点です。

Q. どこで撮影したらいいの?飛鳥とは?

A. このコンテストでは、飛鳥地域として、明日香村を中心に橿原市・桜井市・高取町などの一部も含めた範囲を想定しております。
 大和三山や奥飛鳥、藤原京も対象にはいります。

Q. 昔撮った写真でもいいの?いつ撮影したらいいの?

A. 過去に撮影された写真でもかまいませんが、ぜひこの機会に、飛鳥を巡って、新しい視点で飛鳥の景色を
 見直してみてはいかがでしょうか?四季折々、朝昼晩、お好きな時間帯に撮影してください。

Q. 受賞作品を選ぶポイントがよくわからないのですが・・・

A. 審査会では、「飛鳥の歴史と文化の表現」「飛鳥の新たな魅力の発見」を重視しています。
 著名な観光地や文化財を撮影した写真ならば、どこかで見たような写真ではなく、
 光の捉え方や撮影視点を工夫してみてはいかがでしょうか?
 観光案内にのらない場所でも、飛鳥地域の人々の営みや歴史への思いが感じられる風景を撮影した写真は、
 当コンテストの意図に沿うものとして高く評価します。
 また、従一位は、来館者投票で選ばれます。来館者の心をつかむインパクトのある作品が好まれるようです。

お問い合わせ

住所 〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601
電話番号 (0744)54-3561
FAX番号 (0744)54-3563
E-mail info.shiryokan_nabunken☆nich.go.jp (☆を@に変更してください)
 
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