企画展・特別展

タイトルバナーの画像


第15回写真コンテスト「飛鳥の音」

静かな印象をもたれることも多い飛鳥ですが、実はたくさんの音にあふれています。

寺院の鐘の音や、森の木々・稲穂のさざめき、飛ぶ鳥の声や虫の音、清流のせせらぎ、農作業や発掘調査現場の道具の音、行き交う人々の笑い声、伝統行事にあふれる掛け声や歓声...。飛鳥に都が置かれてから今日まで、変わってしまった音もあれば、いつまでも変わらない音もあります。

第15回写真コンテストはそうした飛鳥にあふれる「音」がテーマです。「音」はそのままでは「写真」という媒体で表現することができません。平面上の色や濃淡で音を表現するという、少し難しい挑戦となりますが、ぜひ飛鳥でみつかる音を探して、その記憶を自由に表現してみて下さい。

応募作品は審査によって各賞を選定します。また、受賞作以外もすべての応募作を展示し、受賞作品以外は来館者投票の対象となります。飛鳥ならではの「音」を切り「撮(と)」った作品をご応募下さい。

題材

「飛鳥の音」にまつわる写真

飛鳥にある「音」を想起させる作品を募集します。撮影地は飛鳥地域に限定しますが、撮影時期は問いません。

講評

第15回を迎える飛鳥資料館写真コンテストには116点の作品を応募いただきました。多数の応募誠にありがとうございます。
今回のテーマは「飛鳥の音」。歴史の流れを感じることができるたたずまいの飛鳥で感じるさまざまな「音」。応募作品の中からは色とりどりの音が聞こえてきそうな写真ばかりで、応募された皆様の豊かな感性を感じることができました。
審査のポイントは作品の中から「音」を感じるための主題が明確になっているか、その主題を導くためにどのような工夫がされているか、鑑賞する人に飛鳥のどのようなストーリーを見せるかといった点を中心に審査いたしました。
応募作品の多くは主題・導線・ストーリーが明確に表現されていましたが、もう一工夫ほしいなといった作品もありました。またここ数年、一眼レフやミラーレス一眼に加えてスマートフォンで撮影された作品も見かけるようになりました。カメラは撮影者が見た風景を写し止める道具です。気軽に持ち歩いて、感じ・見た風景をどんどん写し止めて作品を作る事ができます。そうしたときに「構図・ストーリー・主題」を少し意識してシャッターを切ることで「作品」となります。撮影した写真を改めて見返し、そうした要素が入っているのか考えてみるとより良い作品が出来上がると思います。是非写真を楽しんでください。

次回のテーマは、「飛鳥のたてもの」です。ご応募をお待ちしております。

入選作品

正一位 飛鳥音太政大臣「激流」本田和博 様

正一位「「激流」本田和博様の写真

受賞コメント
今回、正一位の賞を頂き誠に有難うございます。大変嬉しく思っております。いつもは穏やかな流れで、晩秋には紅葉で人気の飛鳥川です。大雨の後に訪れると激流となって凄まじい轟音を立てており、あまりの変わり様に大変驚きました。そんなに大きくはない飛鳥川ですが、自然の力にあらためて脅威・畏怖を感じました。

講評
飛鳥川の流れをモノクロームで表現された作品です。モノクロームの写真仕上げは「調子」がポイントです。ハイライトとなる水の流れからシャドーとなる岩肌へのトーンの変化が美しく、主題となる水の流れも奥に写る滝から下流に流れるストーリーに変化をもたせ、川音を感じることができるように上手くまとめ上げられている点が素晴らしいです。

正二位 飛鳥音左大臣「祈る」荒谷譲 様

正二位「祈る」荒谷譲様の写真

受賞コメント
賞をいただき誠にありがとうございます。テーマ「飛鳥の音」は鰐口を叩くことにより出る音です。あたたかいシーンに出会えました被写体の御家族様にこころから感謝申し上げます。この日2024年1月1日昼過ぎで、このあと16:00過ぎに能登半島地震が発生しました。このように何が起きるかわかりません。日々くいのないよう大切にすごしたいと思います。

講評
飛鳥寺の鰐口を叩こうとする娘さんを見守る温かい家族の音が聞こえてきそうな作品です。お寺の建物を全面に捉え、シンメトリーな構図の中に狙った主題を中心に自然な視線の流れを作り出しています。ファインダーをしっかり観察して真っ正面に捉える事は難しいですが、トリミングで完全なシンメトリーにしても良かったかと思います。

正二位 飛鳥音右大臣「心を込めて」奥西勲 様

正二位「心を込めて」奥西勲様の写真

受賞コメント
この度は正二位を頂き、誠にありがとうございます。 栢森の人々にとっては、特別な1日である男綱作りの1コマを撮らせて頂きました。長い年月をかけて伝統を守る姿に接し、記録に残さずにはいられません。明日香村は棚田や朝焼け、夕焼けなど足を運びたくなる場所がいっぱいです。明日から又、新しい出会いを期待して足繫く通う日々が続きます。

講評
飛鳥の伝統行事、綱掛行事で掛け替えられる男綱をなう作業の仕上げで使うハサミの音が、参加者の柔らかい表情とともに伝わってくる作品です。撮影年が幾分前でフィルムを使って撮影されており、独特の色合いが作品に情感を与えています。主題が画面縦方向の中心にあり、少し不安定要素となるとともに背景の排水口が目立ってしまいます。少しだけカメラアングルを低くして綱の上部を狙った構図にしても良かったと思います。

正三位 飛鳥音画卿「勇ましい花嫁」乾忠 様

正三位「勇ましい花嫁」乾忠様の写真

受賞コメント
この度の受賞大変嬉しく思います。 花嫁のお面はにこやかですが、腕っぷしと足腰が強そうな背の高い男性が扮しています。 優しさと強さを併せ持ち、子孫繁栄・無病息災を願い「ササラ」がうなります。 叩かれた人は嬉しそうに悲鳴をあげます。そして参拝者の笑い声が聞こえます。 神様はそんな光景と音を聞いて人々を見守られている様に思います。

講評
飛鳥坐神社の奇祭「おんだ祭り」の一コマを描いた作品です。お多福に扮した「花嫁」が参拝者のお尻を叩き回る神事の一コマ、周りの参拝者の沢山の笑顔からその場面の雰囲気や「ささら(割竹)」でお尻を叩かれる音が聞こえてきそうです。

正三位 飛鳥音画卿「大仏様の涙」長倉國輝 様

正三位「大仏様の涙」長倉國輝様の写真

講評
仏足石にたまる水面にひとしずくの水滴。波紋がまるで慈悲に満ちた仏様の涙のような情景を描いた作品です。したたる水滴の音が聞こえてきそうなみずみずしい作風で、仏足石の造形を引き立てています。大胆なトリミングで画角一杯に主題を収めていて伝えたいことがよくわかります。

正三位 飛鳥音画卿「稲渕棚田の案山子合唱団」西島国介 様

正三位「稲渕棚田の案山子合唱団」西島国介様の写真

受賞コメント
第15回写真コンテスト「飛鳥の音」の案内葉書を頂きました。真っ先に思い出した音は秋の稲渕で聞こえた案山子合唱団の澄んだ歌声でした。従って写真を撮りに行くのではなく何処かに有るはずの写真を探し出すことでした。2014年9月25日撮影のファイルを発見することが出来ました。第1回コンテストで従五位写真司の称号を頂き、今回は正三位飛鳥音画卿に位して頂き大変喜んでおります。なお次に思い出したのは飛鳥寺の鐘の音でした。

講評
棚田につどう案山子。この案山子家族は祖父母孝行な孫達の動きや会話まで表現していてとてもほのぼのとした情景が伝わってくる作品です。ヒガンバナが織りなす色彩が奥行きに変化を付けて主題に彩りを与えており、構図とアイディアが評価されました。

正四位 写真司「仕事を終えて」佐藤佳史 様

正四位「仕事を終えて」佐藤佳史様の写真

講評
日本の原風景とも言われる飛鳥のたたずまい。その中を仕事を終えた村人が帰宅するシルエットを情景的に描いた作品です。シルエットにすることで想像力をかき立てられ、周囲の虫の鳴き声など、都会では味わえない自然の音が聞こえてきそうな作品です。

正四位 写真司「せせらぎをゆく」西村充康 様

正四位「せせらぎをゆく」西村充康様の写真

講評
飛鳥川のせせらぎの中、綱掛行事に向かう一行を地区の風景と共に捉えた作品です。変化に富んだ地区の道路や川の流れを収めた上で自然に主題である一行に視線が流れる構図が素晴らしく、先頭の導師様のお鈴の音まで聞こえてきそうです。

正四位 写真司「朝の訪問者」橋詰輝己 様

正四位「朝の訪問者」橋詰輝己様の写真

講評
朝の光が漏れ差す中浮かび上がる蓮の花。羽音とともに近づいてくるミツバチをとらえた一瞬のタイミングを逃さず作品に仕上げています。シルエットの背景には朝露のしずくを抱いた蓮の葉が花と共に浮かび上がり、花の色彩をより際立たせています。構図も良いですがハチの来訪を待つ根気強さが決め手です。

正四位 写真司「深深」水野榮 様

正四位「深深」水野榮様の写真

講評
奥飛鳥の深い森に降り積もった雪景色。静けさの中に佇む集落と前景から遠景へと続くモノトーンの景色に降り積もる雪の音が聞こえてきそうな情景的な作品は飛鳥の暮らしの音まで写し出しているようです。

正五位 若草賞(10代・20代対象)「滝家族」浅野貫太郎 様

正五位「滝家族」浅野貫太郎様の写真

受賞コメント
この度は私の作品を若草賞に選んでいただきありがとうございます。どうして「滝家族」というタイトルにしたかと申しますと、この一枚の写真からじゃあまり分かりませんが、奥に小さな滝が2つあって、それが手前の大きな滝と家族のように思えたから「滝家族」と命名しました。初めて写真のコンテストに応募して選ばれたので大変びっくりしました。この受賞を機に、色々な写真表現を模索しながら、写真を続けて行きたいと思います。

講評
村内を流れる川のせせらぎ。苔むした河原や流木を上手く一つの構図にまとめています。この作品は早いシャッタースピードで川の段差に出来る水しぶきを写し止め、水しぶきの音が聞こえそうな絵作りですが、逆にカメラを固定して遅いシャッタースピードで撮影した場合に聞こえてくる音は川のせせらぎになります。いろいろな作品作りを試してみるのも面白いでしょう。

応募について

応募締切 2024 年6 月30 日(日)必着
展示期間 2024 年7 月12 日(金)〜 9 月16 日(月祝) 
(※月曜休館 ただし7月15日・8月12日・9月16日は開館し翌日休館)
来館者投票期間 2024 年7 月12 日(金)〜 8 月18 日(日) 
(※月曜休館 ただし7月15日・8月12日・9月16日は開館し翌日休館)
応募作品審査 奈良文化財研究所 写真室、景観研究室、飛鳥資料館 学芸室

 

協賛/後援

協賛

岡村印刷工業株式会社、コクヨマーケティング株式会社、NPO法人明日香の未来を創る会 明日香村稲渕棚田保全会 、両槻会

後援

文化庁、国土交通省近畿地方整備局国営飛鳥歴史公園事務所、明日香村、朝日新聞社奈良総局、 読売新聞社奈良支局、毎日新聞奈良支局、奈良新聞社、NHK 奈良放送局、 近畿日本鉄道株式会社

正一位・・・1名 岡村印刷工業株式会社 ミストグラフⓇ による受賞作品のプリント・額装(協賛者提供)

従一位・・・1名 飛鳥資料館オリジナルカメラストラップ(協賛者提供)
※来館者直接投票最多得票者 

正二位・・・2名 飛鳥資料館オリジナルグッズ

正三位・・・3名 堀内カラーファインアート・プリントクーポン(協賛者提供)

正四位・・・4名 コクヨプロフェッショナル写真用紙(協賛者提供)

正五位(若草賞)・・・1名 コクヨプロフェッショナル写真用紙(協賛者提供)
※10代・20代対象の若手部門

入賞者副賞

飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・明日香村の新米

応募者全員の特典

応募作品を飛鳥資料館で展示!
(基本的に全作品を展示する予定ですが、応募多数の場合は、全作品を展示できない場合もありますので、ご了承ください。)

注意事項

  • A4、四つ切、ワイド四つ切サイズのいずれかにプリントし、飛鳥資料館へ(締め切り6月30日必着)郵送してください。
  • 応募作品は一人1点まで。
  • 応募票は必要事項を記入し、写真の裏にマスキングテープなどで簡単に剥がれるもので貼り付けてください。
  • 応募作品は応募者自身が撮影創作したものに限ります。
  • 応募作品に人物の顔が大きく写る場合は、被写体の許諾を得てください。
  • 過去に写真コンテスト等で入賞・入選した作品は除きます。
  • 応募して頂いた作品のデータは、飛鳥資料館写真コンテストの広報活動として、他機関に当館から提供する場合があります。
  • 応募して頂いた作品の著作権は作者に帰属しますが、無償で自由に使用する権利が当研究所に帰属します。
  • 応募作品は返却できませんので、ご了承ください。
  • 入賞作品につきましては、フィルムもしくはデジタルデータの提供をお願いします。
  • 撮影にあたってはマナーを守り、他人に迷惑をかけないようお願いします。

結果発表について

飛鳥資料館HP、Facebook、Xで入賞作品を発表します。
入賞者の方へは、飛鳥資料館から封書にてご連絡いたします。

写真コンテストのよくある質問

写真コンテストに関連して、よくお問い合わせのある質問をまとめましたので、応募の際に参考にしてください。

Q. 1人が応募できる作品の点数は?

A. 1点です。

Q. どこで撮影したらいいの?飛鳥とは?

A. このコンテストでは、飛鳥地域として、明日香村を中心に橿原市・桜井市・高取町などの一部も含めた範囲を想定しております。大和三山や奥飛鳥、藤原京も対象にはいります。

Q. 昔撮った写真でもいいの?いつ撮影したらいいの?

A. 過去に撮影された写真でもかまいませんが、ぜひこの機会に、飛鳥を巡って、新しい視点で飛鳥の景色を見直してみてはいかがでしょうか?四季折々、朝昼晩、お好きな時間帯に撮影してください。

Q. 受賞作品を選ぶポイントがよくわからないのですが・・・

A. 審査会では、「飛鳥の歴史と文化の表現」「飛鳥の新たな魅力の発見」を重視しています。
著名な観光地や文化財を撮影した写真ならば、どこかで見たような写真ではなく、光の捉え方や撮影視点を工夫してみてはいかがでしょうか?
観光案内にのらない場所でも、飛鳥地域の人々の営みや歴史への思いが感じられる風景を撮影した写真は、当コンテストの意図に沿うものとして高く評価します。
また、従一位は、来館者投票で選ばれます。来館者の心をつかむインパクトのある作品が好まれるようです。

お問い合わせ

住所 〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601
電話番号 (0744)54-3561
FAX番号 (0744)54-3563
E-mail info.shiryokan_nabunken☆nich.go.jp (☆を@に変更してください)
 
展示
ご利用案内・アクセス
学び
飛鳥資料館について
ミユージアムショップ
お知らせお問い合わせ

他の言語を選ぶ