
飛鳥資料館は、日本の心のふるさと「飛鳥」の「記憶と記録」を紹介する資料館です。
昭和50(1975)年に、奈良文化財研究所の展示施設として開設されました。半世紀の 歴史を経た谷口吉郎設計の本館・売札所は、国の登録有形文化財(建造物)です。
飛鳥は、日本の古代国家誕生の地。592年に推古天皇が豊浦宮に即位してから、694年に持統天皇が藤原京へ遷都するまでの約100年間、天皇の宮殿が継続的に営まれ、政治と文化の中心として様々なエピソードが記録されました。また、東アジアの国際関係の中、人や文物の盛んな交流が、さまざまな文化や技術、制度などをもたらしました。
所狭しと造られた壮麗な宮殿、石組みの苑池や噴水施設、時を告げる水時計(漏刻)、猿石や亀石などの石造物。588年に始まる飛鳥寺の造営をきっかけに広まった仏教寺院。それらを支えるために営まれた飛鳥池工房遺跡。依然、造営された石舞台古墳などの伝統的な古墳に、最終末のキトラ古墳・高松塚古墳。そして、それに描かれた大陸風の極彩色壁画............。
飛鳥を訪れると、なつかしい田園風景の中に、はるか古代の遺跡があちこちに点在しています。皆さんが歩いた道路や目にした水路にも1400年前に起源をたどれるものがあります。周囲の山丘の景観を当時の人々もあおぎ見ていたことでしょう。そして、なによりも、地下には、遺構や遺物として『日本書紀』や『万葉集』に記された記憶や記録が残されています。
飛鳥資料館は、皆さんとこうした飛鳥に残された記憶と記録をつなぐ場でありたいと考えています。ぜひ当館で好奇心と想像力を高めてから飛鳥の文化財・文化遺産をご覧ください。より深い感動と、新たな飛鳥の記憶が生まれることでしょう。
それでは、皆様のご来館をお待ちいたしております。飛鳥資料館長
加藤 真二

飛鳥資料館は奈良文化財研究所の調査研究成果を展示するとともに、飛鳥を訪れた人びとが古代史について概観することができる、総合的な歴史系の博物館施設です。

今から半世紀ほど前、高度成長とともに各地で開発によって景観が無秩序に破壊されていました。そのような状況から、古都である明日香の風土を守ろうという機運が高まりました。一連の動きの中で、1970年の閣議決定を受けて、1973年に庶務室と学芸室からなる飛鳥資料館準備室が設置されました。時あたかも、1972年の高松塚古墳の発見によって飛鳥ブームが巻き起こっていました。古代史への関心が盛り上がる中、1975年3月に飛鳥資料館は開館しました。建物は谷口吉郎氏による設計で、モダンな外観は50年を経てなお魅力的です。資料館の立地は飛鳥の中心部から外れた交通不便な場所で、駐車場も長らくありませんでした。これは当時、景観保全や観光客に村内を広く周遊してもらう意図等、地元の要望もあったといいます。

開館特別展示は「仏教伝来-飛鳥への道-」でした。 1980年まで奈文研に美術工芸研究室があったため、初期には飛鳥や周辺地域の仏像研究が主要なテーマとなりました。展覧会は1978年度から年2回で定着し、2001年度の独立行政法人化とともに年3回、2005年度からは春夏秋冬の年4回となり、さまざまなテーマの展覧会を開催しています。近年の展覧会では、2006~2010年度と2013年度にキトラ古墳壁画の特別公開を開催し、大勢のお客様にご来場いただきました。常設展示は奈文研の発掘調査成果を軸としています。
現在、第1展示室は飛鳥の宮殿や水落遺跡の水時計、須弥山石等の石造物、高松塚古墳・キトラ古墳、飛鳥寺等の古代寺院に関する展示です。 1997年にオープンした第2展示室は、山田寺に焦点をあてています。出土した建築部材による東回廊再現展示は、当館の大きな魅力となっています。