ひさかたの 天照る月は 神代にか 出で反るらむ 年は経につつ―――空に照る月は、神代の昔にもどってきては、また出てくるのだろうか。年は過ぎていくけれども…大空に照る月を詠んだ万葉集の歌からは、月を見て神代の時代に思いをはせていた万葉人の想いがうかがわれます。万葉人の天空への想いは、万葉集だけではありません。キトラ古墳と高松塚古墳に描かれた太陽と月、星座の輝きは、私たちに古代の空を彷彿とさせます。 2015年は当館の開館40周年の節目の年です。これを記念して、飛鳥の過去から未来へと、時空を超えて続く「そら」を今回の写真コンテストのテーマといたしました。
飛鳥の「そら」は、山からの霧や風、光線の変化により豊かな表情をみせます。この空の下、くりひろげられた歴史ドラマの跡は、今も飛鳥の遺跡や石造物・寺社など、飛鳥の景色のそこかしこでみることができます。
万葉の時代をへて、飛鳥の歴史をみまもってきた「そら」。今回の写真コンテストでは、歴史的な風物をいれて、飛鳥の「そら」を写した写真を募集いたしました。
題材
歴史的な風物をいれて飛鳥地方の「そら」を写した写真
展示期間
2015 年7 月28 日(火)〜 9 月13 日(日) (※月曜休館)
来館者投票期間
2015 年7 月28 日(火)〜 8 月30 日(日) (※月曜休館)
応募作品審査
奈良文化財研究所写真室、景観研究室、飛鳥資料館学芸室
協賛/後援
【協賛】 岡村印刷工業株式会社、コクヨファニチャー株式会社、NPO明日香の未来を創る会、一般財団法人明日香村地域振興公社
【後援】 文化庁、明日香村、朝日新聞社、読売新聞奈良支局、奈良新聞社、NHK奈良放送局、近畿日本鉄道株式会社、両槻会
叙位
正一位(1名) 飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・副賞
従二位(2名) 飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・副賞
従三位(3名) 飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・副賞
従五位(5名) 飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・副賞
【来館者直接投票最多得票者】
従一位(1名) 飛鳥資料館官位・官位授与証・写真額装・展示図録一年分・副賞
入選作品
正一位 久方天太政大臣 西村充康様 「悠久の彼方(ゆうきゅうのかなた)」
水鏡の棚田が真っ赤に染まる・・・そんな光景を思い浮かべ ながら明日香村細川に向かいました。しかし、この日の明日香の「そら」はいつもと違って千変万化、日没までのわずかな間にいろいろな表情を見せてくれました。"悠久の彼方は現代そして未来とも隣り合わせ"そんな想いを抱かせる明日香に広がる虚実入り交じった「そら」。そんな「そら」に感動しました。今回、正一位の賞を頂けたことに感謝! そして飛鳥の「そら」に感謝! ありがとうございました。
従一位 飛鳥之民選天太政大臣 田中嘉宏様 「降臨」
来館者投票により、1位に選ばれた作品です。
従二位 宮跡天左大臣 登り山優樹様 「動きだす、瞬間(とき)」
乙巳の変や大化の改新ときくとみなさんそれぞれ思うことがあるのではないでしょうか。
ここ伝飛鳥板蓋宮跡で空を見ているとイメージが浮かんできます。
この日は怪しげな雲と光芒、そしてその雲が少しずつ動いて音もなく現れた少しの青い空。
ここから動いた歴史を描いているような空との特別な出会いになりました。
従二位 豊浦天右大臣 松田全弘様 「今も守るいにしえの地」
豊浦集落のはずれの田園の中にぽつんと残された墳丘らしきものがある。推古天皇の小墾田宮伝承の目印にされる「古宮土壇」と呼ばれている。1970年と1973年の発掘調査で川原石を使用した溝・庭園・掘立柱建物跡等が出土したらしい。今その地に田園が広がりあたかも、久方の時にも、その事実があったかの様なたたずまいが伺いしれる。彼岸花の咲く頃、畦道をよく観察すると、赤褐色の土師器らしい土器破片が散見されるが、私がこの地のいにしえに想いを巡らす、多くは思い入れによる誤認であるのかも知れません。
従三位 久方天画卿 乾忠様 「夕照(せきしょう)」
夕飯の用意をしている妻が窓から山肌を見て、「今日も外が赤いから夕焼け出るのと違う?」と言ってくれました。半信半疑で西の空を見るとその通りです。慌ててカメラを引っ提げて古宮土壇に向かいました。日は沈み天も地(水面)も茜色に染まり、辺り一面神秘的な空気が漂っていました。この天に出会えたことに感謝します。
従三位 久方天画卿 白石博様 「変わらぬ宙(そら)」
明日香村は星も綺麗な場所です。
特に奥明日香は光の害も少なく夏には天の川、冬にはオリオンなど様々な星が見えます。
大変だったのは気象条件です。
星の撮影では長時間の露光をします。風で雌綱が揺れると思い描いたような写真になりません。
そのため月がなく雲のない空で無風の日を待ちました。
この条件に巡り会えたのも幸運でした。
従三位 久方天画卿 辻本博幸様 「一本木と珍雲(めずらしくも)」
この度、従三位にお選び頂き有難う御座いました。テーマ(ひさかたの空)と聞き言葉の意味から調べ、この場所で定点撮影する事に決め昨年10月から今年7月までほぼ毎朝撮影しましたその一枚です。空は毎日違い厳しく楽しい撮影でした。一番良かった事は、地元の方とお話し出来写真以上に楽しかった事かも。有難う御座いました。
従五位 写真司

竹本晴行様 「馬子の見た夢」

田中嘉宏様 「入鹿に語りて」
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たなべ弘年様 「宙よりの慈光」

日野上たくや様 「古の空」

森春菜様 「かたゆふぐれ」
応募律令
・歴史的な風物をいれて飛鳥地方の「そら」を写した写真。
・A4、四つ切、ワイド四つ切サイズのいずれかにプリントし、飛鳥資料館まで郵送してください。
・応募作品は一人2点まで。
・応募表は必要事項を記入し、写真の裏にテープなどで簡易に貼り付けてください。
・応募作品は応募者自身が撮影創作したものに限ります。
・応募作品に人物の顔が大きく写る場合は、被写体の許諾を得てください。
・過去に写真コンテスト等で入選した作品は除きます。
・飛鳥資料館で応募作品の展示をおこないます。ただし、応募多数の場合は、全作品を展示できない場合もありますので、ご了承ください。
・応募して頂いた写真の著作権は作者に帰属しますが、無償で自由に使用する権利が当研究所に帰属します。
・応募作品は返却できませんので、ご了承ください。
・ホームページにて審査結果を発表いたします(入選者には別途ご連絡いたします)。
・入選作品につきましては、フィルムもしくはデジタルデータの提供をお願いします。
・撮影にあたってはマナーを守り、他人に迷惑をかけないようお願いします。
応募票はこちらから(PDF)
当館ではご提供いただいた個人情報は、写真コンテストにおける展示・取材・広報等の目的にのみ使用します
コンテスト関連イベント
【奈文研写真室による写真教室】
9月4日(金)14時から 『デジタル写真の上質仕上げ』
デジタルカメラで撮影したデータを、パソコンで仕上げて印刷する実践的な講座です。
・会場:飛鳥資料館講堂
・定員:10名(応募多数の場合は抽選)
・受講料:無料(ただし、本館の入館料を別途お支払いください)
・持ち物:デジタルカメラで撮影した写真データ。RAWデータかtiffデータがお勧めです。
・申込方法:往復はがき表面に郵便番号・住所・氏名、裏面に住所・氏名・電話番号を明記の上、下記応募先までお申し込みください。
・申込締切:7月5日(日)必着
【飛鳥 光の回廊にともなう無料開館】
8月29(土)30(日)午後6時~午後9時 (準備のため、午後4時半~午後6時まで閉館します)
ろうそくの灯りで庭園をライトアップします。幻想的な景色をお楽しみください。
応募先/問い合わせ先
住所 |
〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601 「飛鳥資料館 写真コンテスト係」 |
電話番号 |
0744-54-3561 |