飛鳥・藤原の都を流れる飛鳥川。現在、川岸には四季折々の草花が咲き、多くの人に親しまれています。古代でも瀬の音の心地よさや、川の風情に心を打たれる人が多かったのでしょうか、万葉集にも飛鳥川を詠んだ20首以上の歌が残されています。その源流には、小さなせせらぎや神秘性を感じる滝。そして、中流まで下ると歴史の舞台である飛鳥と藤原を通り、最後には下流で大和川と合流します。総延長22kmにもおよぶ飛鳥川の流域には、歴史の舞台となった遺跡や、美しい名勝があたかも川を導く道標のように連なっています。
「飛鳥川の導(しるべ)」では、歴史の舞台を古代から現代まで流れ続けてきた飛鳥川をテーマの中心にすえ、歴史や文化を感じさせる写真と、その撮影のエピソードを合わせて募集いたしました。
題材
飛鳥川の写真を撮ること
展示期間
2013年9月7日(土)〜10月6日(日)
来館者直接投票期間
2013年9月7日(土)〜9月27日(金)
応募作品審査
奈良文化財研究所写真室、景観研究室、飛鳥資料館学芸室、来館者の皆様
後援/協賛
【協賛】 岡村印刷工業株式会社、金剛株式会社、コクヨファニチャー株式会社、両槻会、NPO明日香の未来を創る会、明日香村地域振興公社
【後援】 文化庁、奈良県、橿原市、桜井市、明日香村、高取町、田原本町、三宅町、川西町、世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会
大阪芸術大学、京都造形芸術大学、日本写真映像専門学校、写真表現大学、朝日新聞社、読売新聞社、奈良新聞社、
NHK奈良放送局、株式会社シーズクリエイト、奈良交通株式会社
講評
第4回写真コンテスト「飛鳥川の導」では160余点の応募がありました。応募作品を見ると、飛鳥川を題材にした写真としては、大方予想の通りの被写体であったかと思います。
題材として中流、上流域では、美しい渓流の姿や、ご神事などに目が行きがちで応募作品も多かったのですが、下流域の写真はほとんどありませんでした。飛鳥川は下流になればなるほど写真を撮るのが難しくなります。いわゆる「飛鳥らしさ」が曖昧になってきます。こうした難しさがある中、写真を撮りにくい下流域にも視点を向けた作品の応募があったことは嬉しく思います。こうした、飛鳥川の難しい箇所で撮影された応募が増えると、飛鳥川の違った魅力が見えてくるかもしれません。
一方、蛍を題材にした作品の応募がかなりあると思いましたが、1点のみの応募でした。一昔前は、蛍の光で川の形が浮かび上がったほどです。ですが、上流で過大とも思える河川整備事業をおこなったためか、残念なことに飛鳥川では蛍をほとんど見ることができなくなってしまいました。早期の環境復元を期待したいものです。
撮影機材を見ると、今回も作品のほとんどがデジタルカメラによるものです。これまでの写真コンテストでも共通したことですが、カメラ設定のまずさ、データの過大な修正、プリンタの設定ミスなどにより彩度が上がりすぎた作品が多く見受けられます。印象を訴えるのに作品の彩度を上げたり、データの修正する気持ちは理解できますが、やり過ぎは禁物です。
次回の写真コンテストでは、皆様の応募作品のさらなる飛躍を期待します。
(飛鳥資料館 第4回写真コンテスト「飛鳥川の導」審査委員会)
入選作品
正一位 飛鳥川導太政大臣 北 好雄様 「石橋をたたいて渡る明日香川」
大昔の明日香は、今の明日香と違い冬はもっと雪が多く積ったのだと思う。この石橋を渡る人々は杖の様な物を持って石橋をたたいて渡っていたのだろうか、今の明日香は、3年に一度ぐらいそこそこの雪が積るが、石橋に積る程の雪はめったにない。しかも石橋はほとんど水に浸かっているので雪が石の上に積ることは少ない。チャンスは、とても少ない。撮影はその場の空気感が一番大切で、きれいに写すことではない。会心の一枚に高い評価をいただいてありがとうございました。
従二位 桜瀑布左大臣 市川 秀明様 「明日香川の春」
豊浦に有る小さな滝ですが、迫力を出すためアイ、レベルをローアングルでシャッター速度を速めに設定しました。一度撮影したのですが、曇天の為桜の色が悪く再度撮影したのですが、水量が少なく力強さが弱められました。
従二位 秋清流右大臣 篠永 明様 「清流」
宇須多岐比売命神社から飛鳥川沿いに下流へ
師走の小雪舞う寒い一日でしたが、秋の名残か川沿いの落ち葉の彩りに感動
シャッターを切りました。
「飛鳥川の導」写真コンテストに選ばれた事を感謝しております。
明日香を歩き数々の素敵な風景との出逢いがありました。
自然と歴史が今に残る飛鳥
四季折々の表情を見せてくれる古の飛鳥
そんな飛鳥を大切にこれからも撮りつづけたい。
従三位 紺碧陰画卿 岡田 直文様 「飛鳥のきらめき」
このたびは、栄えある賞をいただき、ありがとうございます。
「飛鳥のきらめき」は、シャッターチャンスに恵まれたことが、一番でした。すすきの穂が、スポット光に照らされて一際輝いていたのが印象に残っています。これからも、飛鳥の奥深い魅力のある風景を、写真により、うまく伝えていけたらと思います。
従一位 飛鳥之民選星々太政大臣 白石 博様 「石橋を渡りて〜年に一度の逢瀬〜」
従三位 天漢光画卿 白石 博様 「石橋を渡りて〜年に一度の逢瀬〜」
この度は栄えある「従三位 天漢光画卿」という賞を頂き、驚きと喜びでいっぱいです。
今回のテーマは「飛鳥川の導」という事でいろいろ悩みました。
明日香村での星空の写真はあまり見た事がなかったのと、
石橋を渡って会いに行った姿を想像した時に天の川の織姫と彦星のように思え
テーマにぴったりではないかと思いこの写真に決めました。
今回の受賞を励みに、これからもより一層精進して行きたいと思います。
従三位 緑翠涼画卿 辻本 博幸様 「雨後の飛鳥川」
この度は、従三位を頂き感激して下ります。 今回のコンテスト実施のご案内頂き、応募出来る写真を探しましたが、あいにく写真が在りません。 それならと考え、飛鳥川の撮影をするまで、所がなかなか良い場所が分かりません、何度もうろうろ、ようやく今回撮影した場所にたどり着きました。その日は、昨夜からの雨で凄い水量、足元は悪く三脚を立てるのも一苦労、シャータースピード変え今回の撮影が出来ました。今後地元の飛鳥川をより観察しなけらば行けないと感じた撮影でした。有難う御座いました。
従五位 写真司

乾 忠様 「飛鳥川の水面」

北 正子様 「夏草茂る明日香川」
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長倉國輝様 「飛鳥川と二上山」

宮田哲治様 「雪中の神事」

山本明子様 「合歓の花咲く飛鳥川」