南壁には十二支のうち、巳・午・未が描かれていたと考えられるが、現在、確認できるのは午のみである。石室内では午の姿は確認されなかったが、壁画取り外し後の調査の結果、漆喰表面を覆った泥の層に転写された図像が確認できた。長い年月の間に、漆喰表面の顔料が非常に細かい泥の層に移り、漆喰上には赤い顔料の痕跡が残るのみであった。よって、現在確認できる午の姿は、泥の上に残った鏡像である。頭は馬の姿で、裾(すそ)の長い赤い着物を着て、右手には幡(ばん)のような房飾りがついた槍状の武器を持っている。なお、午の残っている部分は非常に脆く、展示が難しいため、現在は厳重に保管している。