景観研究室 Cultural Landscape Section 文化的景観研究集会(第4回)

文化的景観研究集会(第4回)

テーマ :「文化的景観の現在  保護行政・学術研究の中間総括」
開催期日:平成23年12月16日(金)~17日(土)
開催場所:16日:健康福祉センターたちばな内「かんなびホール」
     17日:平城宮跡資料館講堂
詳細  :研究集会プログラム等 (270KB)
開催趣旨

 平成17年4月の改正文化財保護法施行から6年以上が経過し、重要文化的景観の選定も29件に及んでいます。整備活用の運用や計画策定についても随時進行しつつあり、保護行政の全貌を俯瞰すべき時期が到来しているといえるでしょう。また、平成23年3月11日に起こった東日本大震災からの復興が進められる現在、文化的景観の観点においても、地域特性に応じた復興策、特にランドスケープ再生において、貢献しうる役割は小さくありません。こうした時期と状況をとらえ、今年度の文化的景観研究集会では、「文化的景観の現在」と題して、文化的景観の保護行政と学術研究に関する中間総括を試みます。
 文化的景観の保護は、文化財保護法の運用に止まらず、自治体の総合施策として取り組まねばない課題です。従って、各自治体における総合施策としての取り組みにつき、情報共有をより積極的に進めていくべきでしょう。その一方で、文化財保護法における保護制度の運用についても、方法を吟味し、よりわかりやすく、使いやすい運用のあり方を模索していかねばなりません。
 文化的景観は、保護行政の面だけでなく、学術研究面においても、各分野に新たな視覚を持ち込みつつあります。学術各分野における文化的景観の意味を見直すこと、それが切り開く新たな展開を概括すること、そして、学分野を横断することで生まれる新たな視覚について領域横断的に議論すること。領域横断を前提とする文化的景観の可能性を広げるべく、文化的景観に関わる学術研究の課題についても積極的に採り上げていくべきでしょう。
 本研究集会では、文化的景観をめぐる諸活動について、以上の2つの視点を軸にした中間総括を試み、文化的景観の将来を見据えながら、その概念と制度の拡張の可能性を探りたく思います。


プログラム
12月16日
【現地見学会】
13:00 近鉄飛鳥駅前集合
13:15〜14:45 奥飛鳥の文化的景観視察(参加費1,000円)
【特別講演・鼎談】
15:10〜16:00 「東日本大震災とランドスケープの再生」   
 広田純一氏(岩手大学)
16:00~17:30 「飛鳥の歴史的風土と文化的景観」
増井正哉氏(奈良女子大学),寺西章氏(NPO法人明日香の未来を創る会)
宮前保子氏(スペースビジョン研究所),相原嘉之氏(明日香村教育委員会)
【情報交換会】
18:00〜20:00 於:cafe+eats+bar ポルカドット(橿原神宮前駅前、会費5,000円)
12月17日(土
8:30 受付開始
9:00~9:05 開会挨拶  
 松村恵司(奈良文化財研究所長)
【第Ⅰ部 保護行政に関する総括】
9:05~9:35 「文化的景観保護行政の6年」  
 鈴木地平氏(文化庁記念物課)
9:35~10:05 「文化的景観保護制度の運用状況」  
 今村洋一氏(新潟大学)
10:05~10:35 「自治体の諸施策における文化的景観の位置付けと制度の活用」
 植野健治氏(平戸市教育委員会)
10:35〜10:50  ― Coffee Break -
【第Ⅱ部 学術研究に関する総括】
10:50〜11:20 「都市・建築史と文化的景観」  
 高橋康夫氏(花園大学)
11:20~11:50 「景観生態学と文化的景観」  
 中越信和氏(広島大学)
11:50〜13:00  ― Lunch -
13:00~13:30 「文化的景観とまちづくり」  
 田中尚人氏(熊本大学)
13:30~14:00 「農学・造園学における文化的景観」  
 惠谷浩子(奈良文化財研究所)
【第Ⅲ部 事例報告】
14:00~14:20 「利根川・渡良瀬川合流域の水場景観」  
 宮田裕紀枝氏(板倉町教育委員会)
14:20~14:40 「樫原の棚田」  
 新開晴美氏(上勝町教育委員会)
14:40~15:00 「四万十川流域の文化的景観における行政連携」 
 溝渕博彦氏(NPO高知文化財研究所)
15:00〜15:15  ― Coffee Break -
【総合討議】
15:15〜17:00 座長:清水重敦(奈良文化財研究所)
総括コメント:篠原修氏(東京大学名誉教授)
登壇者:報告者各位
17:00 閉会挨拶
 小野健吉(奈良文化財研究所文化遺産部長)

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