遺構研究室Architectural Feature Section調査研究

調査・研究

遺構の研究

 発掘調査では多種多様な遺構が検出されます。その構造や性格を検討すると、当時の人々が造った構築物がわかるだけでなく、用いていた技術、ひいては人びとの考え方もうかがうことができます。

 例えば、建物の遺構には、建物の基礎である基壇や、柱や礎石の据えつける際に掘った穴、屋根の雨だれを受ける雨落溝などがあります。みつかる遺構は柱穴一つずつですが、組み合う柱穴を見つけ出せば、建物の間取りや規模、柱間寸法などがわかります。雨落溝からは屋根の軒先までの寸法がわかります。また礎石や柱などの建築材料そのものが残存していれば、当時の建築技術や材料の選択、加工の方法などを知ることができます。遺構から判明する情報と、同時代の建物の類例とを比較すれば、建物の上部構造を復原的に検討することが可能になります。以上のような検討を遺跡全体に対しておこなえば、建物や塀、溝や道路などの区画や配置、それらの変遷などがあきらかになり、遺跡の性質を解き明かす鍵になってくるのです。

 ほかにも、遺跡の土層と遺構の関係を検討すれば、旧地形の形状や土地の使われ方がわかりますし、当時の地表面の標高を検討すれば、排水の系統を明らかにすることができます。このようにさまざまな検討素材を組み合わせて、測量や土木に関わる技術、都市計画の設計や採用された尺度、庭園の池や石組といった多様なテーマについて分析していくのです。こういった作業を通して、当時の人びとが造った構築物に対する思いをくみ取ろうとしています。

 以上のような発掘遺構に関する研究成果は、当研究所の紀要や発掘調査報告書などで公表しています。


平城宮跡東院地区西北部の調査(平城469次調査)の遺構検討図

遺跡出土建築部材の研究

 遺跡の発掘調査では、木質の遺物が出土することが少なくありません。しかし大型木材については何の部材なのか判断が難しく、しばしば報告書に有効な情報を盛り込むことができない場合があります。また建築史の分野では、遺跡から出土した建築部材がかつての建築を具体的に示す資料でありながら、十分には活用されていないのが現状です。

 そこで遺構研究室では、建築史学と考古学の成果を合わせた遺跡出土建築部材の総合的研究手法を確立すべく、飛鳥地域、藤原京、平城京などの発掘調査により出土した建築部材をはじめ、全国の遺跡から出土した建築部材について、各分野・地方の研究者と協力して調査研究をおこなっています。

 これまでの主な調査対象としては以下の遺跡があります。

・ 飛鳥地方の寺院(奈良県明日香村・桜井市)
・ 胡桃館遺跡埋没家屋(秋田県北秋田市)
・ 観音寺遺跡(徳島県徳島市)
・ 山木遺跡(静岡県伊豆の国市)
・ 小谷地遺跡(秋田県男鹿市)
・ 柿田遺跡(岐阜県可児市・可児郡御嵩町)

※2006年~2009年には独立行政法人日本学術振興会・科学研究費補助金 基盤研究(A)「遺跡出土の建築部材に関する総合的研究」(課題番号:18202026)を受けて研究をおこないました。また、各地方公共団体から委託を受けて調査をおこなうこともあります。


平城宮跡・藤原宮跡の遺跡整備に関する研究

 特別史跡である平城宮跡・藤原宮跡では、その学術的価値が明らかする発掘調査がおこなわれると同時に、貴重な遺構を保存しつつ、調査成果をわかりやすく公開するための整備が進められています。平城宮跡では、出土遺物や模型の展示施設の設置のほか、遺構の露出展示、植栽などによる建物位置の表示、建物や庭園の復原など、整備手法の研究を経て、これまでに様々な方法の整備が実施されています。

 近年では平城宮跡の整備公開活用に関する調査研究として、都城発掘調査部を中心とし定期的な検討会を開催しています。2004~2006年には、平城宮跡の利活用のための復原建物や設備整備に関する調査研究として、全国または海外の大規模遺跡の管理運営体制について類例調査を実施しました。また、 2001年~2009年には第一次大極殿の復原にあたり、遺構や遺物から判明する構造や細部意匠について、復原設計、基壇・礎石、彩色・金具、屋根仕様、瓦など各テーマを設定し多数の検討会を開催しました。現在は、第一次大極殿院の復原研究として、門や楼閣、回廊などの構造に関する検討会を開催しています



坂田寺出土の建築部材と実測図


第一次大極殿院 復原イメージ


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