建造物研究室Architectual History Section 資料の収集と公開

資料の収集と公開

建造物研究室では、文化財建造物の保存修復にかかわる基礎資料を収集し、整理した上で、それら資料を広く活用できるよう、活動をおこなっています。以下のものは、一般にはなじみのないものですが、文化財建造物の保存修復にとって、大変重要な資料となっています

現状変更説明
 国宝・重要文化財建造物の修理をおこなう際に、復原等によって、現状の形状を変更(現状変更)する際には文化庁長官の許可が必要です。そして、その許可の是非については、文化庁長官から文化審議会(かつての文化財審議会)に諮問(是非について検討を要請すること)され、審議会で検討されて答申(是非の検討結果を伝えること)され、その結果にもとづいて、許可の判断がなされます。この現状変更の内容とその理由を整理したものが「現状変更説明」です。現状変更説明の内容そのものが、日本における文化財建造物の修理のありかたを示す重要な資料といえます。
 そこで、奈良文化財研究所では、これまでの修理の歴史および修理のありかたを具体的に示す基本資料を活用し得るように、「現状変更説明」の刊行を継続的におこなっています。刊行作業は、2003年度から開始し、1988年から遡るかたちで、3年分を1冊(本文編1冊、図版編1冊)として作業を継続的におこなっています。 すでに刊行したものは以下の通りです。

『重要文化財建造物現状変更説明 1986-1988(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1986-1988(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1983-1985(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1983-1985(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1980-1982(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1980-1982(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1977-1979(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1977-1979(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1974-1976(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1974-1976(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1971-1973(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1971-1973(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1968-1970(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1968-1970(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1965-1967(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1965-1967(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1962-1964(本文編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1962-1964(図版編)』
『重要文化財建造物現状変更説明 1959-1961(本文編)』

保存図
 日本において、国宝・重要文化財の修理の際には、修理前後の状況を正確に記録し、修理前後の図面が作成されます。そして、これら図面については、ケント紙(A0紙)に、墨で描かれて、保存されることとなっており、一般的に「保存図」と称されています。これら保存図は、文化財建造物の記録として最も基本的なものであると同時に、日本における文化財建造物の修理記録として大変貴重な資料といえます。
 奈良文化財研究所では、これら保存図を受け入れ、整理・保管し、要請に応じて貸し出しをおこなっています。現在保管している保存図の総数は、約3万枚弱におよびます。
 なお、2003年までに当研究所で受け入れ、保管している保存図の一覧については、『国宝・重要文化財建造物保存図目録』として刊行しています

『国宝・重要文化財建造物保存図目録』奈良文化財研究所 2003

摺拓本
 保存図と同様に、国宝・重要文化財の修理の際に、蟇股等の彫刻、虹梁や木鼻の絵様彫刻については、和紙とカーボンによる乾式の拓本(摺拓本)がとられることがあり、これら摺拓本も保存することとなっています。これら摺拓本は、修理時の状況を原寸大で記録したものとして、大変貴重な資料といえます。
 奈良文化財研究所では、これら摺拓本も随時受け入れ、整理・保管し、要請に応じて貸し出しをおこなっています。現在保管している摺拓本の総数は、約2万6千枚強におよびます。
 なお、2001年までに当研究所で受け入れ、保管している摺拓本の一覧については『国宝・重要文化財建造物摺拓本等目録 上・下』として刊行しています。

『国宝・重要文化財建造物摺拓本等目録 上・下』奈良文化財研究所 2001

写真ガラス乾板
 写真にフィルムが使用される以前は、ガラスに乳剤を塗り、そこに映像が撮されていました。いわゆるガラス乾板です。奈良文化財研究所で保管している写真は、文化財建造物の保存修理の前後に撮影されたものや修理中の写真があり、他にも当時の現況を撮影されたものも数多くあります。撮影日時が明確なものは限られていますが、戦前期に撮影されたと思われる写真も数多くあります。さらには、戦災等で焼失した建造部物の写真も数多くあり、失われた建造物の状況を伝える唯一の資料として、大変貴重なものです。
 写真ガラス乾板はかつては文化庁で保管されていましたが、現在は奈良文化財研究所が整理・保管しています。その数は約3万枚にのぼります。要請に応じて、写真を焼き付けて、貸し出しをおこなっています。保管写真ガラス乾板の一覧については、整理時に撮影した35㎜写真をもとに、写真の内容がわかるかたちで、『国宝・重要文化財建造物写真乾板目録』Ⅰ~Ⅴとして刊行する計画で、すでにⅠ~Ⅳを刊行し、平成22年度末にはⅤを刊行する予定です。
 そして、将来の乾板の劣化に対応するために、乾板の保護措置と同時に、現時点での映像を記録するために、デジタル化を随時おこなっています。現在はその約1/3にあたる1万枚程度が終了しています
その他資料
 保存図や写真等の基礎的資料の整理・保管の他にも、研究および保存行政に資するための基礎的なデータの収集をおこない、資料化をおこなっています。
 すでに刊行している出版物は以下のとおりです。

『第1回集落町並保存対策研究集会記録』
『第2回集落町並保存対策研究集会記録』
『第3回集落町並保存対策研究集会記録』
『集落町並保存資料集成 第1集 集落町並保存関係文献目録(稿)』
『集落町並保存資料集成 第2集 集落町並保存関係条例の概要(Ⅰ)』
『集落町並保存資料集成 第3集 集落町並保存関係条例の概要(Ⅱ)』
『近世社寺建築の研究 第一号』
『近世社寺建築の研究 第二号』
『近世社寺建築の研究 第三号』
『明治初期建築関連文書資料集(一)』


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