カンボジアの文化財
第20回アンコール遺跡群技術小委員会

 アンコール遺跡群観光の町、シエムリアップで7月8日・9日の2日間、上記の会議が開催されました。アンコール遺跡群の調査と保護に当たっては、1993年の東京会議の合意を受けて、ユネスコが調整し、日本とフランスが共同議長を務める国際調整会議が各国の調査修復の調整を行うことになっています。国際調整会議総会は毎年12月前後に開催されます。今回の技術小委員会は国際調整会議の下に位置づけられ、毎年 6月頃に開催され、主に調査の結果や修復の進行 状況などを話し合う会議です。

 第1日目の8日は現在進行している修復の様子や、調査成果が発表されました。午前中は現在進行中の修復について、担当する各隊からの発表がありました。午後は各調査隊が行っている調査成果が発表されました。なかでも日本国政府アンコール遺跡救済チームでは、遠方にある巨大遺跡、サンボール・プレイクック、プリア ・カン、コー・ケルとアンコール遺跡群との位置関係を中心とした話題が提供されました。またフランスの研 究者からは、空港近くの複数の遺跡について、広範な発掘調査による成果が報告されました。ここ数年、アン コール遺跡群周辺で多くの発掘調査が行われていることは、情報としては知っていましたが、初めて耳にする内容も多く、情報交換の場としての国際会議の重要性を改めて認識することになりました 。奈文研の西トップ遺跡における発掘成果についても発表を行うとともに、今後の修復についての概要を報告しました。

 翌9日は遺跡に関連する様々な話題が話し合われました。なかでもアンコール遺跡群の石材として多用される砂岩について、表面の地衣類や苔類の砂岩への影響や、その存在の遺跡に与える影響などが話題になりました。この問題は修復に関わるどのチームも避けて通れない課題であり、活発な議論が交わされました。

 こうした遺跡そのものに関する話題もさることながら、観光開発や地元との共生など、広範な内容が9日の議題となりました。

 複数の国が修復調査等で支援を行っているアンコール遺跡群においては、こうした情報交換とそれに関する意見交換の場が必要不可欠となっています。今回の会議も様々な課題を再認識する良い機会となったと思います。