カンボジアの文化財
第1回 窯跡調査研究会開催
1.現地事務所会場準備の様子


2.現地事務所における検討会


3.アンコール陶磁器博物館見学


4.バカオン窯跡見学

 奈良文化財研究所がカンボジア・シエムリアップに設置した西トップ遺跡調査修復現地事務所(以下:現地事務所)では6月13日・14日の両日、アメリカスミソニアン研究所サックラー美術館との共催で、上記の研究会を開催しました。本研究会はスミソニアン研究所ルイズ・コート学芸員の企画で開催の運びとなったもので、東南アジアにおける窯跡の発掘成果についての研究会として、クメール陶器窯跡の発掘を多く手がけている当研究所に協力の依頼があり、現地事務所を会場として、窯跡出土遺物を遺物を並べての開催となりました(写真1)。

 現地事務所ではこれまで主体となって調査したタニ窯跡A6号窯、ソ・サイ窯跡A11号窯の遺物や、大阪大谷大学と共同で調査を行ったクナ・ポー窯跡、バカオン窯跡6号窯の遺物、及び西トップ遺跡出土の黒褐釉瓦を会場に展示しました(写真2)。

 13日は東南アジア窯跡調査の権威であるドン・ハイン先生の、窯跡調査全般に亘るお話がありました。午後にはカンボジアの若手研究者であるチャイ・ラチャナ氏とエア・ダリス氏、両アプサラ研究員から発表がありました。チャイ・ラチャナ氏はカンボジアとタイ東北部の窯跡出土品の比較研究を、エア・ダリス氏はアンコール地域と周辺を繋ぐ王道と呼ばれる当時の幹線道路沿いの窯跡について発表を行いました。

 14日の午前は現地見学会を行い、まずタニ窯跡群を訪れるとともに、研究所が建設に協力したアンコール陶磁器博物館の見学を行いました(写真3)。また帰路バカオン窯跡群の見学を行いました(写真4)。午後はチャイ・ヴィソット国立博物館研究員から、カンボジア・ラタナキリ州における炻器生産についての報告が、西野紀子金沢大学客員研究員からはベトナムにおける陶磁器生産についての報告が、それぞれ行われました。

 今回は東南アジアにおける窯跡研究の第一線の研究者が、カンボジアを始め、タイ、ラオス、ベトナムから集まり、これにアメリカ、日本、中国、オーストラリアの研究者が加わって、活発な議論が展開されました。奈文研にとっても、現地事務所の発足直後に、このような形で現地考古学の進展と人材育成に寄与することができ、東南アジア窯跡研究の一拠点としての役割を果たせたことは、現地事務所活動の嚆矢を飾る出来事として特筆できると思っております。

 本研究会の開催に当たって特段のご尽力をいただいたスミソニアン研究所ルイズ・コート学芸員に、この場を借りて篤くお礼を述べたいと思います。