巧みに日本風アレンジ
アメリカ版のドラえもんは、ピザが好物なんだとか。他の文化を取り込む時に、自国の文化に合うようにアレンジすることは、古代からよく見られることです。
中国では、紀元前にはすでに土器の表面に、釉薬(ゆうやく)を塗る技術がありました。これが日本に伝わるのは、飛鳥時代。朝鮮半島の渡来人から技術を学び、寺院の瓦や磚(せん)(レンガ)に使われました。
中国では隋唐時代になると、白、緑、黄、藍色の4色で、美しく彩られた唐三彩が流行します。この唐三彩をまねして、日本でも3色に釉薬を塗り分けた奈良三彩が作られました。
でも、似ているようで、似ていない…。奈良三彩と唐三彩は、とてもおもしろい関係です。
奈良三彩は、器の形、作り方、釉薬の塗り方など、いろいろな点で、唐三彩と違っています。どうやら、唐の工人の直接的な技術指導はなく、お手本にする唐三彩と、必要な知識だけを中国から持ち帰り、日本の職人達が独自にアレンジして奈良三彩を生み出したと考えられるのです。
奈良時代、日本は遣唐使を送り、さかんに大陸の進んだ文化を取り入れようとしていました。さまざまな技術や文物が、巧(たく)みに日本風にアレンジされ、受容されていたのですね。
平城京跡から出土した奈良三彩
(奈良文化財研究所主任研究員 神野惠)
(読売新聞2014年10月26日掲載)