企画展・特別展

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 甘樫丘から遠望する飛鳥の集落の家並。古からの法灯を受け継ぐ寺院。大和棟の民家の庇。飛鳥では美しい瓦葺きの屋根―甍―をいたるところで目にします。
 瓦が日本で初めて葺かれたのは飛鳥の地でした。崇峻天皇元年(588)、百済から渡来した瓦博士が飛鳥寺の創建に参加し、瓦葺きの伽藍が完成します。その後、瓦葺きの建物は、飛鳥時代の寺院や、藤原宮の宮殿などに広まっていきました。
 それから1400年余、古代の伽藍や宮殿は失われました。跡には自然の草花が生い茂り、礎石や土壇に古の甍がしのばれます。その傍らで、飛鳥の里には、近世から現代にかけての瓦葺きの建物が軒を連ねています。
今回のコンテストでは、「飛鳥の甍」をテーマに、瓦の美しさや古の甍をイメージさせる写真と撮影のエピソードを合わせて募集いたしました。

題材

飛鳥の甍(いらか)をイメージさせる写真

展示期間

2014 年7 月25 日(金)〜 9 月7 日(日) (※月曜休館)

来館者直接投票期間

2014 年7 月25 日(金)〜 8 月24 日(日) (※月曜休館)

応募作品審査

奈良文化財研究所写真室、景観研究室、飛鳥資料館学芸室

協賛/後援

【協賛】 岡村印刷工業株式会社、コクヨファニチャー株式会社、NPO明日香の未来を創る会、一般財団法人明日香村地域振興公社、両槻会
【後援】 文化庁、明日香村、朝日新聞社、読売新聞奈良支局、奈良新聞社、NHK奈良放送局、近畿日本鉄道株式会社

叙位

正一位(1 名) 飛鳥資料館官位・官位授与証(巻物)・写真額装・図録1年分・副賞
従二位(2 名) 飛鳥資料館官位・官位授与証(巻物)・写真額装・図録1年分・副賞
従三位(3 名) 飛鳥資料館官位・官位授与証(巻物)・写真額装・図録1年分・副賞
従五位(5 名) 飛鳥資料館官位・官位授与証(通常)・写真額装・図録1年分・副賞

来館者直接投票最多得票者

従一位(1名)飛鳥資料館官位・官位授与証(巻物)・写真額装・図録1年分・副賞

講評

今回のテーマ「飛鳥の甍」は少々難しいお題であったかもしれません。どのくらいの応募があるのか、さっぱり見当もつきませんでした。なかなか応募点数が増えず、少し心配をしていましたが、心配をよそに応募期間終了間際にたくさんの作品が寄せられました。その数なんと213点と過去最高の応募点数となりました。応募していただきました皆様には、ほんとうに感謝を申し上げます。

  作品を拝見しますとお題の難しさか、画面の切り取り方にやや難点があるようなものが多いような気がしました。画面構成を少し変えるだけでずいぶんと引き締まった作品になりますので、再度作品を眺めて見てください。

  正一位に選ばれました本田和博さんの「穏やかな朝」は、今回のテーマにピタリと一致しています。落ち着いた色調で、朝霞の中にわずかに光る瓦、左右の瓦の構成と後方の重なり合う山並み、棟の端にさりげなくとまるカラスなど、穏やかな朝の静けさをも感じ取れる作品に仕上がっています。

  上位入賞者の皆さんの作品を拝見いたしますと、ほぼ共通して「光の捉え方が上手い」と言えます。その中で、どんな構図で、どう画面を構成するかが、腕の見せ所となります。

  飛鳥資料館写真コンテストは今回から年1回となり、どんな「お題」であったとしても四季を通して撮影することができるようになりました。そういう観点から見ますと、応募しやすくなったと思います。次回以降もすばらしい作品を飛鳥資料館写真コンテストに応募していただき、大いに盛り上がることを期待したいと思います。

(飛鳥資料館 第5回写真コンテスト「飛鳥の甍」審査委員会)

入選作品

正一位 飛鳥甍太政大臣 本田和博様 「穏やかな朝」

正一位本田和博様「穏やかな朝」の写真
梅雨入り時期の早朝、橘寺の大屋根を裏山から望む。飛鳥全体に靄がかかり、屋根越しの森も霞んでいた。 三脚を準備しているとカラスが二羽飛んできて屋根に止まったではないか。慌てて構図を決め、まず1枚撮影。再生画像で露出・ピントを確認し、次にファインダーを覗くとカラスの姿はもうそこにはなかった。カラスが写ったのはこの1枚のみ。カラスの会話が聞こえて来る様な静かで穏やかな朝だった。  

従二位 残照甍左大臣 北室静規様 「残照」

従二位北室静規様「残照」の写真
テーマの「甍」はむずかしい課題でした。撮影場所を探す中で人の暮らしと「甍」を表現しようと決めました。今回のテーマをとおして、あらためて瓦屋根の美しさ、そして、その背景にある飛鳥のすばらしさを感じることが出来ました。

従二位 甍道導右大臣 長倉國輝様 「甍の道」

従二位長倉國輝様「甍の道」の写真
この度は、二位の称号を頂きまして、ありがとうございます。飛鳥の甍は、難しいテーマでしたが、たまたま見付けた蓮の柄が入った光り輝く瓦を見た時にコレダっと思って撮影いたしました。いつも愉しいテーマありがとうございます。

従三位 飛鳥甍画卿 西村康男様 「古民家」

従三位西村康男様「古民家」の写真
この度は、従三位をいただき誠にありがとうございました。1300年の歳月を経て、この飛鳥は今の田園風景になりました。先人達の努力により、景観が保たれ季節ごとに違った姿を発見できる楽しみがあります。この古民家も、大和棟として深い晩秋を表現することが出来ました。これからもさらなる感性で、原風景を記録するとともに、これを後世に残していかなければならないと思っております。  

従一位 飛鳥之民選甍太政大臣 宮口達夫様 「棚田の集落」

従三位 飛鳥甍画卿 宮口達夫様 「棚田の集落」

従一位従三位宮口達夫様「棚田の集落」の写真
この度栄えある賞を頂き有難う御座います。田植間近の棚田に満々と水を湛えた集落と夜明け前の静かな時間帯に撮影しました。この様な風景が何時迄も残る事を願っています。

従三位 飛鳥甍画卿 宮田哲治様 「和の旋律(リズム)」

従三位宮田哲治 和の旋律(リズム).jpg
今回の「飛鳥の甍」は非常に難しいテーマでした。「甍」といえば「瓦」 屋根を撮るのか? 瓦だけを撮るのか? いや 全体の雰囲気がいるのか? 茅葺きではダメなのか?などなどいろいろ考えさせられました。あらためて、飛鳥の地を歩き屋根や建物を見てまわり、新たな発見や驚きも多々ありました。さて今回入賞させていただいた作品の被写体は、栢森(かやのもり)集落の入り口に建つ立派な日本建築の家屋です。「旋律」を直訳すると「メロディー」ですが、「甍」が描く直線と「石垣」が描く曲線の心地よい組み合わせに、「リズムを伴った連続的な連なり」を感じ、あえて「旋律」に「リズム」とフリカナを当てました。  

従五位 写真司

  • 従五位菊谷光代様「甍の波 光る」の写真
    菊谷光代様 「甍の波 光る」
  • 従五位たなべ弘年様「歴史を綴る古民家」の写真
    たなべ弘年様 「歴史を綴る古民家」
  • 従五位田畑新二様「悠久」の写真
    田畑新二様 「悠久」
  • 従五位辻本英明さま「古都の佇まい」
    辻本英明様 「古都の佇まい」
  • 従五位辻本博幸様「四棟煙抜き」
    辻本博幸様 「四棟煙抜き」

 

応募律令

・A4、四つ切、ワイド四つ切サイズのいずれかにプリントし、飛鳥資料館まで郵送してください
・応募作品は1人4 点まで
・応募票に必要事項を記入し、写真の裏にテープなどで簡易に貼り付けてください
・応募作品は応募者自身が撮影創作したものに限ります
・過去に写真コンテスト等で入選した作品は除きます
・飛鳥資料館で入賞者を含め、応募全作品の展示をおこないます
・応募して頂いた写真の著作権は作者に帰属しますが、無償で自由に使用する権利が当研究所に帰属します。
・応募作品は返却できませんので御了承ください
ホームページにて審査結果を発表いたします(官位授与者には別途ご連絡いたします)。
・入選作品につきましては、フィルムもしくはデジタルデータの提供をお願いします。
・撮影にあたってはマナーを守り、他人に迷惑をかけないようお願いします。

応募票はこちらから(PDF110KB)
 当館ではご提供いただいた個人情報は、写真コンテストにおける展示・取材・広報等の目的にのみ使用します

コンテスト関連イベント

【奈文研写真室による写真教室】
・7月25日(金)14時から ①写真のパソコン仕上げ術
・8月23日(土)14時から ②デジタルプリントテクニック

・会場:飛鳥資料館講堂 定員:各回20名(応募多数の場合は抽選)
・受講料:無料(ただし、本館の入館料を別途お支払いください)
・申込方法:往復はがき表面に郵便番号・住所・氏名、裏面に受講希望日・住所・氏名・電話番号を明記の上、下記応募先までお申し込みください。
※往復はがき1枚につき1名様1回教室分のお申込みとなります。

・申込締切:7月12日(土)必着
     

応募先/問い合わせ先

住所 〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601 「飛鳥資料館 写真コンテスト係」
電話番号 0744-54-3561
メールアドレス info@nabunken.go.jp
 
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